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なぜインフレでも日銀は動かない?2022年冬、さらなる円安進行で中流階級の生活崩壊=吉田繁治

輸入する品目の問題

日本の輸入構造にある問題は、国際卸価格(=商品コモディティ指数)がどんなに上がっても必需のエネルギー・資源・穀物であることです。

エネルギーと原材料になるので格が上がっても輸入が必要です。
米国のように商品の輸入が多いと、価格が上がれば、減らせます。

日本は、高い価格になっても同じ量を買わねばならない。
輸入の金額が増えて、資源価格の高騰分が赤字になります。

食糧の自給率は60%です。コメだけでは、3,000万人しか食べることができない。コメ以外の穀物も輸入です。コーンや小麦は家畜の餌にもなる。国産牛も飼育ができなくなる。餌が上がると、肉は上がります。

漁船では、エンジンの燃焼に大量の石油を使います。
電力は、原油、天然ガス、石炭です。水力発電は5%でしかない。

価格が理不尽に上がっても、輸入しなければならないのが化石燃料です。木材もほぼ100%輸入です。紙も上がります。輸入がなければ、住宅も作ることができない。趣味のスピーカーBOXも、作れません。ダンボールも上がり、ガソリンが上がるので、アマゾンから買うときの宅配費も上がります。

それでも日銀には、国債価格を下げる金利上昇の選択肢がありません。

黒田氏は、2%台のインフレになっても、金利は上げないという説を、述べています。これは、ファイナンスの面では、日銀が国債を10%は高い価格で買い続けるという宣言です。

10年債の金利は0.25%以下に誘導

日銀による「10年債の金利目標0.25%」の意味は、

(1)10年債の利回りが、金融機関が作る債券市場で0.25%を上回ると、(=既発国債の価格が下がる=国債の売り手>買い手になる)、

(2)日銀が、0.25%以下に下がるように、市場の気配値より高く買って、円を増発するという、市場介入の宣言です。

このため、米国の金利が上がると、今回(21年12月から22年3月のように長期金利が0.25%以上に上がらない円は、大きな円安になります。

(注)10年債の市場での金利が0.25%を上回ると、日銀が即座に、市場に出た10年債を高い価格で買って0.25%以下に下げています。これが、長期金利の目標0.25%の意味です。

米ドルの長期金利は2.4%に上がっているので、長期金利が0.15%~0.25%しかない円国債は、売られます。

2%以上のイールド(利益)があります。ドル債を円で買えば、金利の2%に、ドル高/円安の利益も加わるからです。

「米国国債10年 日足(SBI証券提供)」

「米国国債10年 日足(SBI証券提供)」

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