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富士通の9割「ジョブ型雇用」転換がもたらす大格差社会。特技を持たない平凡な社員が低賃金に落ちていく=鈴木傾城

日本のやり方では通用しなくなってきた

日本はゼネラリスト型であり、欧米はスペシャリスト型であるとも言える。

日本企業はすでに社員を終身雇用で雇うほどの余裕もなくなっているし、そもそも現代は目まぐるしく時代が変わって商品やサービスも次々と変えないとやっていけない時代に入っている。

新しい業態になるたびに社員を研修していたら間に合わないので、その能力を持った人を最初から雇う必要が出てくる。

つまり、スペシャリストな人材を「ジョブ型」で雇う方が合理的な時代になっている。

さらに言えば、今までの企業は終身雇用だったので何もできない若手の給料は安く、年齢がいけばいくほど賃金が上がる年功序列システムが普通だった。

しかし、転職やリストラが当たり前となり、技術でも若手の方が能力があると、「何もできない40代〜50代の人間の賃金が高く、能力ある若手の賃金が安い」という不公平感も際立ってくる。

グローバル化の波に洗われ、企業が終身雇用を維持できなくなった時から、すでに日本企業の「メンバーシップ型」は無理があったと言えるかもしれない。

このままでは日本企業はグローバルでの競争力に打ち勝てないので、何とかしないといけなかったのだ。

だから、ジョブ型の雇用や人事制度に変わろうとしているのである。

高度な能力を持った人にとっては、ジョブ型の雇用は最高

私自身は、もはや終身雇用も年功序列も崩壊している中でメンバーシップ型は維持できないと当初から見ていたので、日本企業がジョブ型に転換していこうとしている流れは奇異には思っていない。

恐らく、日本企業も将来のどこかの段階でジョブ型の雇用が当たり前になって、メンバーシップ型は終身雇用と年功序列型のシステムと共に消え去るのだと思う。

では、働く人たちにとって、このジョブ型の雇用は「良い」のか「悪い」のかどちらなのか。

高度な能力を持った人にとっては、ジョブ型の雇用は最高だろう。

例えば、ネットワーク系の技術を持ったエンジニア、コンピュータの様々な開発言語に精通したプログラマーなどは、高賃金で雇ってもらえてそれに没頭でき、その企業の仕事が終わっても、他の企業で同じ職に就くことができる。

しかし、高度な能力を持たない人にとって、ジョブ型の雇用はどうなのだろうか?

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