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「参院選前に物価高はマズい」政府と日銀に大きな亀裂。岸田首相はアベノミクスを完全否定できるか?=斎藤満

「円安は日本経済にプラス」との日銀の言及で、円安が止まらなくなっている。資源不足と円安で、すでにインフレが起こっており、政府は夏の参院選に向けて物価高を抑えるの必死だ。岸田首相はアベノミクスの否定、黒田総裁の首切りという豪腕を振るえるか。今後の動きに注目したい。(『マンさんの経済あらかると』斎藤満)

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※有料メルマガ『マンさんの経済あらかると』2022年3月28日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:斎藤満(さいとうみつる)
1951年、東京生まれ。グローバル・エコノミスト。一橋大学卒業後、三和銀行に入行。資金為替部時代にニューヨークへ赴任、シニアエコノミストとしてワシントンの動き、とくにFRBの金融政策を探る。その後、三和銀行資金為替部チーフエコノミスト、三和証券調査部長、UFJつばさ証券投資調査部長・チーフエコノミスト、東海東京証券チーフエコノミストを経て2014年6月より独立して現職。為替や金利が動く裏で何が起こっているかを分析している。

政府と日銀に温度差

政府と日銀は2013年1月に、デフレ脱却と持続的な経済成長に向けての両者による政策連携について共同声明を打ち出しました。

特に安倍政権が黒田日銀総裁を任命して以来、両者は強い連携の下で、大胆な金融緩和を実施してきました。

ところが、それから9年たって、今や政府はエネルギーなどの物価高を強く警戒するようになった一方、目標未達の日銀は依然としてデフレ脱却を主眼に緩和持続を主張しています。

岸田政権は25日に関係閣僚会議を開き、物価高に対する対応策を4月中にまとめるよう、担当部門に指示する意向を示しました。

一方、日銀はその前日、1月開催の決定会合の「議事要旨」を公表しましたが、ここでは物価が安定的に2%を達成するまで金融緩和を続ける意思を明確にしています。

これによって、政府と日銀との認識に大きなギャップが生じていることを示しました。

「夏の参院選前に物価高はマズい」

岸田総理は夏の参議院選挙を意識しています。

選挙前に物価高で国民の生活や農業などが痛手を負うことは、選挙に不利とみて、その前に何とか手を打とうとしています。

政治の立場からすれば、選挙民の声を大事にしたい時期です。統計上はインフレを問題視する状況ではないとしても、現実にガソリン、燃料、電気代などの「生活コスト」が大幅に上がり、国民の間の不満を吸収する必要があります。

もっとも、景気を冷やしかねないマクロのインフレ抑制策(財政引き締めなど)を取るわけではなく、ガソリン価格高騰分を補助金で吸収してききたように、財政資金でコストを吸収して物価高を回避したい模様です。

近く関係閣僚会議で担当部への指示が出されると見られます。

Next: しわ寄せは国民に?「円安は日本経済にプラス」との姿勢を貫く日銀

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