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なぜ中国はゼロコロナで自滅するのか。習近平「国家主席3期目」の野心で経済逆走、海外投資家が中国を見放し始めた=勝又壽良

なんとかして米国を追い抜きたい習近平

(2)の米国へ対抗する外交政策は、習氏にとって最大の政治的野心になっている。米中二大大国論から、2035年に米国をGDPで追い抜き、世界トップに立つ。これによって、「中華再興」の夢を果たすというのである。

2035年は、習氏が82歳になるときだ。盟友のプーチン氏は、2036年までロシア大統領の座にしがみつく意向である。こうして、この2人は中ロのトップとして君臨し、米国を覇権の座から追い落とす「密約」を結んでいることは間違いない。

過去、60回以上も会談している2人だ。こういう話がでないはずがない。互いに励まし合って行こう。その証が、今年2月4日の中ロ首脳会談の共同声明において、「限りない友情」を誓い合った背景だ。この「限りない友情」は、習近平氏が言い出した文言である。

間が悪いことに、中ロ首脳会談の20日後、ロシアのウクライナ侵攻が始まった。習氏は、自らの外交姿勢を庇うために、ロシアに声援を送り、返す刀で米国を批判している。隣国を問答無用で侵略する。そういうロシアに歩があるわけがない。習氏は、そのロシアを応援しているのだ。

国際紛争は、戦争で解決しないのが国連精神である。ロシアは、国連常任理事国である。国際紛争を仲介する立場の国が、自ら侵略国になった。警察官が、隣家に刀を持って押し入ったのである。

そのロシアに声援を送る中国は当然、欧州から「異端国」として見放されつつある。習氏のイデオロギー外交が、中国の未来を封印したのである。

PMIは連続50割れへ

中国の習近平イデオロギーは、習氏個人を守る役割をしているが、中国の国益を害していることは明白である。それは、経済動向に顕著に表われている。

中国国家統計局が、4月30日に発表した2022年4月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は47.4と、前月より2.1ポイント低下した。2カ月連続で好調・不調の境目である50を下回った。新型コロナウイルスの感染拡大により、最大経済都市の上海市はロックダウンに追い込まれ、中国全土の物流が混乱している結果である。

4月の非製造業のPMIは41.9と、3月から6.5ポイントも落ち込んだ。2カ月連続で50を下回った。原因は、ゼロコロナ政策によるものである。こうして、製造業・非製造業ともに、50を割り込んでいる。

ゼロコロナという網を張った以上、途中で止められない事態に陥っているのだ。「毒を食らわば皿まで」という言葉がある。もはや、ゼロコロナ政策を中途半端に止められない以上、今秋の共産党大会まで続けるほかない状況だ。

これが、現実になった場合の中国経済は、身の毛のよだつような結果になるほかない。現状では、4~6月期のGDPは、前年比マイナス成長に落込むとの予測が出ている。このほかに、中国がロシアを支援しているのだ。現状では、米国の厳しい監視によって、経済的・軍事的な支援はないと、米国務省は発表している。

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