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なぜバフェットはテスラではなく中国EV大手「BYD」に投資する?業績好調の要因と両社の違い=シバタナオキ

EV(電気自動車)と聞いて、まず頭に浮かぶのはテスラでしょう。ところが、天才投資家のウォーレン・バフェットはテスラではなく、中国のEV企業「BYD」に長期投資をしています。その狙いはどこにあるのでしょうか?今回はBYDの決算から業績好調の要因と将来性を読み解きます。(『決算が読めるようになるノート』シバタナオキ)

(筆者注:この記事はhikoさん(企画・リサーチ担当)とmasmさん(ライティング担当)との共同制作です。この記事では、1ドル=100円($1=100円)、1元=20円として記載しています。)

※本記事は有料メルマガ『決算が読めるようになるノート』2022年5月12日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:シバタ ナオキ
AppGrooves / SearchMan共同創業者。東京大学大学院工学系研究科技術経営戦略学専攻 博士課程修了(工学博士)。元・楽天株式会社執行役員(当時最年少)、元・東京大学工学系研究科助教、元・スタンフォード大学客員研究員。

Q.ウォーレン・バフェットが大量保有する電気自動車会社BYD、Teslaと何が違うのか?

ヒント:両社とも垂直統合型のビジネスモデルだが、●●が異なる

皆さんご存じの世界的な投資家であるウォーレン・バフェット氏がCEOを勤めるバークシャー・ハサウェイが、長期的に投資している中国企業があります。

その企業は比亜迪汽車(BYD)という電気自動車会社で、バークシャー・ハサウェイはBYDが発行している株式の7.7%にあたる2.25億株を2008年9月から保有しています。

上の表は、バークシャー・ハサウェイの2021年12月31日時点の所有株式の一覧です。

約13年前、2008年9月時点の投資額は$232M(約232億円)でしたが、2021年12月31日時点の評価額は$7,693M(約7,693億円)、実に33倍を超える価値に成長しています。

一方、BYDと同じ電気自動車会社で、日本で最も馴染みがあると思われるアメリカのTesla社は、ウォーレン・バフェット氏からの出資を受けていません。

今回の記事では、ウォーレン・バフェット氏から出資を受け着実に成長を遂げているBYDを取り上げて、会社概要や成長要因を深掘りしていきます。

また、ウォーレン・バフェット氏が株式を保有しているBYDと、世界第一位の電気自動車会社Teslaではどのような違いがあるのか、という点についても分析していきます。

BYDの会社概要

まずは、BYDの会社概要について解説していきます。

BYDは1995年に中国の深セン市でバッテリーメーカーとして創業し、2002年に香港証券取引所に上場しています。現在は従業員22万人超、6大陸に27支社、30の生産工場を抱えるほどに拡大しています。

自動車メーカーとしての成り立ちは、2003年に小型車メーカー「西安秦川汽車」を買収し、BYDの自動車部門「BYD汽車」が設立されたところから始まっています。

現在でも、(1)電気自動車事業、(2)モノレール事業、(3)環境エネルギー事業、(4)ITエレクトロニクス事業と、4つの事業を展開しています。

ITエレクトロニクス事業の携帯電話のODM(Original Design Manufacturing=委託者のブランドで製品を設計・生産すること)事業では、台湾に本社を構えるFoxconn(フォックスコン)に続き世界2位の規模となっており、Apple、ファーウェイ、Xiaomi(シャオミ)などの最新スマートデバイスの開発、製造を行っています。

2020年には新型コロナウイルスの流行に伴いマスクを製造、販売し、「世界最大のマスクメーカー」と言われるようにもなりました。時流に応じて幅広く事業を展開していることが伺えます。

Next: 自動車、スマホ、電池関連……主力事業のいずれもが絶好調

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