fbpx

ウクライナ侵攻は中国経済にも大打撃。次の成長国「ベトナム」へのサプライチェーン移転が加速する3つの理由=澤田聖陽

ベトナムが移転先として選ばれる3つの理由

中国から生産拠点の移転先として「ベトナム」が人気なのは、以下の3点が理由としてある。

<人気の理由その1:安価の労働力と若者が多い人口ピラミッド>

JETROが発表している「2019年度アジア・オセアニア進出日系企業実態調査の個票データより集計」によると、日系製造業での中国の工場労働者の賃金の中央値は441ドル(約5万7,000円)、ベトナムでは216ドル(約2万8,000円)と、ベトナムは中国の半分以下の水準である。

また今後高齢化が進む(人口オーナス期に入る)中国と比べて、ベトナムは労働生産人口比率が高い人口ボーナス期を迎えており、労働力の確保という面から見て非常に魅力的である。

<人気の理由その2:中国と地理的に近い点>

中国から生産拠点を移す動きといっても、中国拠点を全て無くしてしまうという動きは少なく、中国拠点を残しながら、一部をベトナムに移すという動きが多いだろう。

その場合、中国の生産拠点との連携も必要であろう。

またベトナムに生産拠点を移しても、その部品や原料などは中国から持ってこなければいけないというケースも多い。

ベトナムは中国と国境を接しており、陸路で繋がっているため、他の東南アジアは諸国に比べて大きなアドバンテージがある。

<人気の理由その3:積極的な自由貿易協定(FTA)戦略を展開している点>

ベトナムは「ASEANプラスワン」と呼ばれるFTAだけではなく、独自で多くの国とFTAを締結している。

他のASEAN諸国に立地した場合、FTAを活用できるのは世界需要の3割程度にしかならないが、ベトナムに立地すれば独自のFTAなども含めて、世界需要の65%程度FTAを活用できると言われている。

おそらく今後も中国からベトナムへの生産移転という流れは大きくなるだろう。

例えば、台湾の鴻海精密工業(フォックスコン)はベトナムへの投資を加速している。

フォックスコンはAppleの主要サプライヤーの1社であるが、中国を生産拠点としていたが、一部をベトナムへ移そうという動きが顕著である(ちなみにフォックスコンは中国共産党と親密な企業と言われているが、それでもこのような動きがある)。

Next: やがてベトナムも労働集約型から付加価値生産に移行する

1 2 3 4
いま読まれてます

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

MONEY VOICEの最新情報をお届けします。

この記事が気に入ったらXでMONEY VOICEをフォロー