fbpx

ウクライナ侵攻は中国経済にも大打撃。次の成長国「ベトナム」へのサプライチェーン移転が加速する3つの理由=澤田聖陽

ベトナムの輸出総額が中国「深セン」の輸出総額を上回った。“世界の工場”として重宝されてきた中国だが、ここに来て人件費の高騰、少子高齢化、さらには地政学的リスクを回避するために「チャイナフライト(中国から他国に生産拠点を移す動き)」が起こっている。なぜ移転先としてベトナムが注目されているのか。3つの理由について解説する。(『元証券会社社長・澤田聖陽が教える「投資に勝つニュースの読み方」』澤田聖陽)

【関連】2022年の中国経済は「冬の時代」へ。元証券会社社長が分析、世界規模の経済危機を招く虚飾崩壊と習近平“第二文革”に警戒せよ=澤田聖陽

※本記事は有料メルマガ『元証券会社社長・澤田聖陽が教える「投資に勝つニュースの読み方」』2022年5月17日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

※5月30日(月)19:30よりまぐまぐ!Live配信予定「『投資に勝つ』ための最新ニュース解説
投資に勝つにはまず第一に情報分析。「投資に勝つ」という視点から日常のニュースをどのように読むべきかを、この記事の著者で、元証券会社社長で現在も投資の現場の最前線にいる澤田聖陽氏が解説します。視聴方法はこちらから。

急拡大するベトナムの輸出総額

2022年4月28日の騰訊(テンセント)新聞に、ベトナムの輸出総額が中国の深センの輸出総額を上回ったという記事が掲載された。

同紙によると、深セン市が発表した2022年1~3月の輸出総額が前年同期比2.6%減の4,076億6,000万元(約7.7兆円)、これに対してベトナムの同時期の輸出総額は前年同期比13.4%増の5,842億元(約11兆円)となった。(1元=19円で計算)

またベトナムの輸出総額は、すでに2019年の時点で深センの輸出総額を超えていたとも報じている。

同紙はベトナムのGDP規模は中国の1割にも満たず、ベトナムと深センの輸出構造はまったく異なっており(深センはハイテク商品が多く、ベトナムは電子製品や紡績、服飾などの労働集約型商品が多いと説明している)、単純に比べることに意味はないとしているが、ベトナムの貿易が急速に成長していることには注目する必要があるとしている。

ベトナムの貿易が急速に伸びている背景には、人口ボーナスによる低廉な労働コストと、一部の先進国が経済安全保障という観点で、意図的に中国からベトナムなどに一部の産業を移していることがあると説明している。

中国からのサプライチェーン移転が加速している

現在、世界ではサプライチェーンの混乱が起こっており、それがインフレを発生させている大きな要因となっている。

サプライチェーン混乱の大きな原因は、ロシアのウクライナ侵攻による世界情勢の混乱と中国のゼロコロナ政策の強行である。

2000年代以降、世界経済は中国をメインエンジンとして発展してきた。

中国は膨大な人口を背景に生産拠点として発展し、同時に旺盛な消費は販売先としても非常に魅力的な市場となった。

中国の安い労働力は生産移転先として非常に魅力的であり、先進国の多くの企業は生産を中国に移し、中国を中心とするサプライチェーンが構築された。

サプライチェーンが中国に過度に依存するリスクについては、トランプ大統領下で米中貿易摩擦が発生したあたりから意識され、徐々に「チャイナフライト(中国から他国に生産拠点を移す動き)」は起こっていたが、ウクライナ危機はチャイナフライトの動きをより加速させる大きな転機になったと考える。

Next: 人件費高騰で中国産のメリット激減。生産拠点の大移動が始まった

1 2 3 4
いま読まれてます

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

MONEY VOICEの最新情報をお届けします。

この記事が気に入ったらXでMONEY VOICEをフォロー