テクニカル分析は有効か?
バートン・マルキールさんは「テクニカルは砂上の楼閣だ」と言っています。砂上の楼閣とはどういうことか?「実現することができない」そういったニュアンスがあります。
テクニカル分析で何をするかというと、例えばチャートの分析をするとか、RSIとか、MACDとか、そういった指標をもとに、短期的に株式のトレンドに対して投資する。それがテクニカル分析の基本的な姿勢だと思います。
では、テクニカル分析上で、私たちが本当にトレンドを把握することができるのか?ということを考えていかなくてはいけないというふうに書いています。
上のスライドの表は、日経平均株価の過去の値動きを表しています。テクニカルを信じているなら
「ここで例えば上髭が出たから次は下がるんではないか」
「いやそんなことはない、ここからもっと上がっていくのではないか」
というふうに考えます。
実際どうなったか。ガクンと落ちました、ガクンと落ちて、また反発して、指標が出てきた。
その時には
「これはもう完全に上昇トレンドだよね。」
「じゃあここからまた買いにいけばいいんじゃない?」
などというわけです。
しかし、またここで下がります。でまた反発して、また上がってったというふうに。そのタイミングごとに
「今のトレンドが上昇トレンドなのか、下降トレンドなのか?」
「これって実は結果論でしかないよね」
ということを言ってるわけなんです。
あくまでランダムに動く値動きを見ているので、例えばこのタイミングで他の人がどう動くか?「もうここが天井だ」というふうに思うのであれば、下げ方向に賭ける。一方で「ここの段階で上に行く」とみんながそう考えると思えば買いに入る。
というふうに、株価の本質的な価値というよりは、株式投資をやっている周りの人がどう考えているか、そういった心理的要素も含めて投資していかなくてはいけない。
さらにトレンドの分析自体も結果論である。よって「砂上の楼閣」である。それは実現しようのないただのランダムだと(著者は)言ってるんです。
この本の中で面白い話が紹介されていて、ある人がチャートを適当に作りました。コインを投げて表が出たら陽線、裏が出たら陰線というふうに適当にチャートを作った。そのチャートを、いわゆるチャーチスト(テクニカル分析をして投資をしている人)に見せたところ、なんだこのチャートはと。「何の銘柄だ?こんな上昇トレンド見たことない、早く教えてくれ」と言ったらしいのです。「それはただコイン投げで適当で作ったやつだよ」と言ったら、その人は怒り狂ってしまった。要するに、コイン投げと変わらないことをやっているというのが、このウォール街のランダムウォーカーのテクニカルに対する姿勢というふうになるんです。
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