分析が難しい理由
では、ここまでを一度まとめさせていただきます。
テクニカル分析も、ファンダメンタルズ分析も、基本的には難しい。難易度が高いものだというふうに書かれているのです。
<テクニカル分析が難しい理由その1:未来は予測不能>
未来は予測不能です。昔、こういったチャートの傾向のときは、次はこのような動きをした。だから、この今の形状もその時似ている。過去そうだったから、未来もこうなる。このような姿勢をしているテクニカル分析は絶対に無理だと。将来予測することはできない、砂上の楼閣であるというふうにおっしゃっています。
<テクニカル分析が難しい理由その2:手数料>
2番目の理由が手数料です。トレンドがどんどんどんどん変わっていく。日々変わっていくので、それに追っかけようとすると、売買手数料だけで利益が飛んでしまう。短期的にどんどん売買を繰り返していることで、お財布の負担になってしまう。だからテクニカル分析は手数料がかさむから良くない、というふうにも書いてあります。
<テクニカル分析が難しい理由その3:同注文のジレンマ>
そして最後理由が同注文のジレンマ。例えば、テクニカル分析的に、これは買いのタイミングであると判断したとします。この投資を考えてる人が全員同じタイミングで仮に買い注文を入れたとして、今度は売りのシグナルが出た。売りのタイミングを同じタイミングでみんな注文をしたらどうなるかというと、それは永遠に買う人がいなくなってしまうので、売りが約定しなくなるのです。
テクニカル分析はそういった要素がある。じゃあもっと早く他の人が気づく前に、早く仕込んでしまおうということを考えるかもしれません。しかしそれは結局、トレンド分析ではありません。
このように早く仕込もう、早く仕込もうとすると、結果的にこのテクニカル分析、トレンド分析というところから離れてしまう。だからテクニカル分析の有効性はないというふうに書いてあるのです。
<ファンダメンタルズ分析が難しい理由その1:サプライズ>
一方でファンダメンタルズの方は、値動きにおいてはサプライズ。先ほど申し上げた、相場の急変っていうものは避けて通れません。こういったものを考えると、必ずしも過去の業績から将来を予測することは難しいというふうに書かれています。
<ファンダメンタルズ分析が難しい理由その2:テクニカル要素>
テクニカル分析と同じく、過去の業績から将来を予測している。その点は実はあんまり変わらない部分があり、テクニカル要素からファンダメンタルズ分析をするのは難しいと言えます。
<ファンダメンタルズ分析が難しい理由その3:分析者の能力>
分析をする人の力によって結果が変わってきます。さらに言うと、元々見ているデータ企業の不正会計なのか、そういったことも考えていくと分析しているデータがそもそも正しいのかどうか、そういった要素も絡んでくる。だからファンダメンタルズは難しいのです。
<ファンダメンタルズ分析が難しい理由その4:効率的市場仮説>
効率的市場仮説というのは何かというと、例えばこの株価というものは、上方修正の業績であったり、今後の見通しなど、いろいろな情報がすべて詰まっているのが株価です。
要するに株価にすべて織り込まれているという考え方なのです。ゆえに過去の情報や未来の予想、上方修正などの情報をもとに、他の人よりも出し抜くことは難しい。これが、効率的市場仮説であり、ファンダメンタルズ分析が成り立たないというふうに言える。最も理論的な話になっていくわけです。
以上のような理由で、ファンダメンタルズ分析もテクニカル分析もどっちも難しい。成り立たない。
だから、インデックス投資をしなさいというふうに、書かれています。
しかし、ここで少し考えてほしいのです。テクニカルも駄目、ファンダメンタルも駄目だから、インデックスというふうな消去法的な考え方ではないのです。
みんながやっているインデックス投資なんですけれども、非常に合理的かつコストパフォーマンスの良い投資になっています。