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非課税世帯への5万円給付に噴出する「高齢者へのバラマキ」批判。「分断を招く」一律給付を求める声に岸田首相が頑なに聞く耳を持たない理由

政府が物価高対策の一環として、住民税非課税世帯を対象に1世帯当たり5万円を給付する調整を始めたと報じられている。

エネルギー価格や食料品価格の高騰が続くなか、困窮世帯対策を充実させる必要があると判断されたもの。対象となるのは、およそ1,600万世帯とされ、国会で事前の審議が必要ない予備費から9,000億円程度の支出を想定しているという。

非課税世帯の7割が高齢者が世帯主とのデータも

旧統一教会と自民党との抜き差しならぬ関係が取沙汰されるうえに、さらに安倍元総理の国葬にも疑問の声が多い状況とあって、ここに来て急降下している岸田内閣の支持率。そんなタイミングでの発表だけに、SNS上からは「また人気取りか」といった見方もあがっている今回の件。

いっぽうで、全世帯への一律給付ではなく、住民税非課税世帯に限定されている点に対しても、「物価高で困窮しているのは何も非課税世帯に限った話ではない」ということで、当然のように多くの批判の声があがっている状況だ。

日本の一般世帯総数は、2020年のデータによると約4,885万世帯にのぼるということで、今回の5万円給付はその3分の1ほどが非課税世帯として対象になることに。

この非課税世帯だが、各自治体によって基準が異なるものの、会社員の場合だと1人暮らしであれば年収100万円以下。会社員に専業主婦、子ども1人の3人世帯なら年収205万円以下、また子ども2人の4人世帯であれば年収255万円以下が目安となる。

そんな非課税世帯といえば、2021年末に大いに取沙汰された「18歳以下への10万円給付」の際にも、困窮学生ととともに10万円給付の対象となっている。そもそも住民税が非課税となるのはもちろん、国民健康保険料や介護保険料、さらに高額療養費も軽減されるなどといった、様々な補助が受けられるのも知られた話だ。

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生活困窮者への支援は国などによる福祉政策の根幹でもあり、これらの施策は当然といったところだが、いっぽうでそんな非課税世帯はどの世代が多いのかというと、65歳以上が世帯主であるケースが7割程度を占めるとのこと。そのためSNS上では、今回の非課税世帯への給付を「高齢者へのバラマキ」と捉える意見もかなり多いようだ。

一律給付を求める声も根強いが…

最近では「手取り15万」というワードも大いに取沙汰されたが、こういった現役世代で年収100万~200万円程度といういわゆるワーキングプア層には、昨今の物価高騰で厳しい生活を強いられながらも、今回の所得制限の下では支援の手はほとんど行き届きそうにないのが実情。

それゆえに、SNS上では所得制限を設けない、いわゆる一律給付を求める声も根強いところなのだが、いっぽうで岸田首相といえば政調会長だった一昨年4月に、新型コロナ対策として生活困窮世帯を対象に1世帯当たり30万円を給付する案を取りまとめ、推し進めようとしたものの、公明党の強い意向などもあり、土壇場で全国民への10万円一律給付に覆ってしまったという苦い過去が。

ゆえに一律給付に対しては嫌悪やトラウマを抱いている……かどうかは定かではないが、少なくとも所得制限にはとことん固執するといった姿勢を崩そうとしない岸田首相。「国民の分断を招く」と一律給付を訴える声に対して、聞く耳を持つことはまったく望み薄といったところのようだ。

Next: 「住民税非課税世帯への給付は高齢者の合法的買収」

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