円安が進むなか、市場参加者が気になるのは「日銀はいつ為替介入するのか?」という点でしょう。口先介入やレートチェックが行われていますが、騙されていけません。今回は為替介入のタイミングを予測する方法を解説します。(『 角野實のファンダメンタルズのススメ 角野實のファンダメンタルズのススメ 』)
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プロフィール:角野實(かどの みのる)
大学卒業後、金融機関に10年ほど勤務。独立して投資家の道へ。現在は企業経営者として活動、FX関連の執筆を多数行っている。
急速な円安で為替介入に警戒感
「どういう対応をとるかはコメントしない=為替円安で鈴木財務相」(9/7)
「為替への対応、『あらゆる手段』には介入も含まれる=鈴木財務相」(9/14)
※出典:ロイターヘッドライン
今回の円安はあまりにも急すぎるので、警戒発言が連発されるのは至極当然のことですが、これに関して良い記事がなかったので、きちんと説明をします。
まず、鈴木大臣の発言要旨というのは、急激な円の変動はよくない、というのが趣旨であり、介入をするか、しないかは、記者たちが聞きたかったことです。これを間違えてはいけません。
そのうえで、メディアはレートチェックは介入の事前準備だ、と説明をしていますが、これは推測にすぎません。財務省はそんなことは認めていません。過去にレートチェックが入ると、その後に、介入があったことが多いという経験値だけの話であり、レートチェック、イコール、未来の介入ではありません。
そしてレートチェックに関して、鈴木財務大臣はノーコメントとし、介入に関しては事前にそんなことを言うものではなく、やるときは素早く果断にやる、と言っています。
まず、レートチェックに関しての説明は後に譲るとして、レートチェックは、おしゃべりな金融マンが言っているように、それは事実です。それに対してノーコメントというのは政府としては認めたくないだけの話です。
レートチェックをする、ということは、介入は予告なくやる、という発言と矛盾します。介入をするのなら、レートチェックなんかしない、と言っているのに等しいことで、レートチェックがあるということは事前予告と一緒のことですので、結論は介入なんかしないよ、と鈴木財務大臣は言っているのです。つまり介入なんか、ない、という結論になるのです。
介入を含めて、あらゆる手段を検討する、というのはいつもの常套句で、調子に乗って円を売るなよ、という意味です。そこに介入という言葉を使えば、円売りの投機家にはダメージを与えることができます。
レートチェックの具体的な流れ
財務省の委託を受けて、介入の実務は日本銀行が行うのですが、日本銀行の担当者からドル円担当者に現在の相場状況を、聞くことをレートチェックと言います。
具体的に何を聞くかといえば、
1. 現在のドル円レート
2. 何ヤリ何買い、なのか?
3. (介入する場合)それでは、この値段でドルを〇本買ってください
というのが流れです。
レートチェックは、まず日本銀行です、現在の値段を教えてください、と入ります。その時点で担当者は、ビビりまくるのですが、今回の場合は「2」まで行ったわけです。
何ヤリ何買い、のヤリというのが業界用語で、売りのことです。これは板状況を聞いているのです。たとえば3000ヤリの100カイであれば、売り板の方が大きいので、この3000の売りを消滅させるのには日銀が10本も買えば、たぶん、消えます。なぜなら、おしゃべりな金融マンがみんなにそういう注文が入った、と言いふらすので、その注文が入ってすぐに3000の注文のほとんどが消えるでしょう(笑)。
日銀と金融マンの「出来レース」
ここで金融マンがおしゃべりと書くのは、個人情報や顧客情報の秘匿義務など、関係がない、という口の軽さを言っているのです。本来の会社であれば、このレートチェックを行うことは社外秘、というよりも自分の心の中に留め置くものというのがコンプライアンスというものです。しかし、もう、ハチの巣をつついたような騒ぎにディーラールームはなるでしょう。金融マンにコンプライアンスを求めるのは、八百屋で魚を買うようなものです。
日銀や財務省はそれをなぜ、問題にしないかというと、本音はしゃべってほしいのです。つまりわずかな資金で介入効果を狙っているのですから、しゃべってもらわないと困るという、いわゆる出来レース、マッチポンプなので、問題にならないのです。
ディーラールームなど、個人情報取得義務違反の巣窟で、誰が何を買っただの、売っただの、もうダダ漏れ状態です(笑)。
警戒発言や為替介入のタイミングを事前に予測する方法
大昔に解説したことですが、為替介入には(推測ではありますが)基本的なルールがあります。それは月初か月末の値段から10%を超えたときに、介入を行う、ということです。
たとえば、4月、5月の財務省のコメントは月初の値段から5%を超えたときに行うのです。きちんと、4月の為替を注視しているというコメントは月初から5%を超えたときから出ているはずです。
ここから、1%刻みで、財務次官や大臣、総理大臣など、さまざまな人がわざわざ記者を集めて会見をし――
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角野實のファンダメンタルズのススメ
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』(2022年9月15日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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