ボラティリティ高さに揺れる市場
問題は金利上昇から低下に転じたといっても、1日20bp超という大きな値動きが伴っています。ボラティリティ(変動率)は高いままです。
それこそ、米国債の1日の値動きが5bp程度に日々収まらないと、市場はホッとすることがえきません。
運用担当者(ポートフォリオマネージャー)にしてみれば、このところのポジション表を見るたびに損益が振れ過ぎて、精神的な疲れが何倍にも跳ね返って来ます。
直属の上司や担当役員、財務関連部署などに報告するにしても、毎日「昨日の数字と全然違うじゃないかい」と、理不尽な叱責を受ける始末。
「だったら、お前らも相場ちゃんと見てろ」と叫びたいのをグッと堪えて「連日、値動きの激しい日々が続いております。当ポートフォリオの平均デュレーションは…」
と、「どーせディレーションなんて分かんねーだろ」と確信しつつも、事務的に説明を続けます。
ちなみに「デュレーション(duration)」は直訳すると「期間」。10年債ならデュレーションは10年弱。具体的には債券利回りと債券価格との関係も表します。
冒頭で「10年債1bpの変化で、債券価格は100円当たり10銭弱変化」は、このデュレーションの話です。もう少し具体的に損益を考えるならば、「残存年数×0.9銭」が100円当たりの債券価格変化としておくと、概算にはちょうど良いかもしれません。まぁ大雑把ですけど。
国債市場が安定しない限り他の市場も荒れ続ける
BOEの英国債買いは、本来「英国債売り」という金融引き締め策を行うべき時に行った緊急措置です。その動きを好感したとしても、一時的に留まります。
同時に、金融引き締め時には、こうした不意討ちが折に触れて登場します。昨日の米国債買い(利回り低下)にしても、ビックリ買いです。
ホント、どの相場も難しい上に直ぐに損益が大きく振れます。レンジ感(値幅の感覚)も従来とは異なっていて大変なんです…。
てことで、米国債の動きが「これ、すごくないですか?」である限り、1日5bpの動きに収まらない限り、他市場のボラティリティも高いまま。
藤井聡太五冠のように「ん-っ、そぉですねぇ~」と静か、かつ自信を持って相場を語れる日は何時になったら来るのでしょうか。年内は厳しそうです。
まとめ
・英中銀(BOE)、英国債価格急落を受けて、英国債買いに踏み切る
・本来BOEは金融引き締めの一環で英国債売却を決めていました
・米国債の値動きが1日5bpに日々収まらない限り、荒れ相場は続きます
『徒然なる古今東西』(2022年9月29日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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