介護保険基本理念
さて、介護保険の基本的な考え方は、以下となっています。
自立支援:単に介護を要する高齢者の身の回りの世話をするということを超えて、高齢
者の自立を支援することを理念とする
利用者本位:利用者の選択により、多様な主体から保健医療サービス、 福祉サービスを総合的に受けられる制度
社会保険方式:給付と負担の関係が明確な社会保険方式を採用
要介護認定に応じて受けられるサービスは異なります。
サービス事業者は、
・在宅サービス(訪問介護、通所介護等)
・地域密着型サービス(定期巡回、認知症対応型共同生活介護等)
・施設サービス(老人福祉施設、老人保健施設等)
を行い、費用を市区町村に請求し9割分(7・8割分)が支払われます。
介護保険の財源構成は「保険料50%・公費50%」となっています。
<保険料>
・第1号保険料(665歳以上)23%
・第2号保険料(40~64歳)27%
<公費>
・国庫負担金25%(調整交付金5%、定率分20%)
・都道府県負担金12.5%、市町村負担金12.5%
問題となっている「軽度高齢者」を介護保険制度から外すということは、この国庫負担金を「要介護1・2」介護者のサービスのために“充てがわない”ということになるのでしょうかね。
「要介護認定」とは
介護サービスの必要度(どれ位、介護のサービスを行う必要があるか)を判断するものですが、その方の病気の重さと要介護度の高さとが必ずしも一致しない場合があります。
この要介護状態や要支援状態にあるかどうか、その中でどの程度かの判定を行うのが要介護認定(要支援認定を含む。以下同じ)は、保険者である市町村に設置される介護認定審査会において判定されます。
要介護認定は介護サービスの給付額に結びつくことから、その基準については全国一律に客観的に定められています。
この要介護認定で問題となるのが「認知症」の扱いです。
厚生労働省のホームページにはこうあります。
アルツハイマー型の認知症の方で、身体の状況が比較的良好であった場合、徘徊をはじめとする問題行動のために介護に要する手間が非常に多くかかることがあります。しかし、身体的な問題が発生して寝たきりである方に認知症の症状が加わった場合、病状としては進行していますが、徘徊等の問題行動は発生しないため、介護の総量としては大きく増えないことが考えられます。
また要介護認定の聞き取りのときに、「できない」というのが恥ずかしくて無理に頑張ってみたり、できないのに“できる”と言ってしまうことで、現状に合致しない認定を受けてしまうことがあります。
特に認知症がある人の場合、認知面の調査では、実際と異なる返答をされる場合もあります。
認定基準によって受けられるサービスも異なりますし、何より家族の費用負担が異なります。
こればかりは、ご本人の気持ちの問題でもありますので、認定時点で頑張ってしまうのはよくわかりますが、公平客観的に現実に即した判定がされることを望みますね。
介護が必要と判定されると、症状のレベルに応じて「要支援1・2」または「要介護1~5」のいずれかに認定されます。
「要支援」とは、身の周りの介護はまだ必要ではないものの、日々の生活を送る上で何らかの支援が必要な状態です。「要介護状態になることを防ぐ」という意味合いも込められています。
嫌味な言い方をすると、「要介護になることを防ぐ」ことは介護保険制度の範疇ではないと、2015年に判断されたのだと思ってしまいます。
今回の「要介護1・2」も、介護状態ではなく「予防段階」だということでしょうか。
「要介護」の数字が大きくなるほど、必要な支援や介護の度合いが大きくなります。介護保険で利用できる居宅サービスや限度額も異なってきます。
居宅サービスとは、自宅で生活する人を対象とした介護保険の介護サービス全般のことを言います。
居宅サービスの種類は、「訪問サービス」「通所サービス」「短期入所サービス」「その他のサービス」の4種類になり、居宅サービスの費用は、要支援および要介護度や、利用するサービス、居住している市町村などによって変動があります。
重要なのは、利用者は「要介護2」以下が7割を占めているというデータがあることです。しかも、その割合は年々増加傾向となっています。
今回のテーマ「軽度高齢者が全国介護保険から締め出される」の対象である、まさに「要介護1・2」の介護者が該当します。
この“締め出し”、正確には「要介護2以下の介護保険不適用」を決めたのが、社会保障を司る厚生労働省ではなく財務省なのです。







