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またジョブチューンと企業が結託した炎上商法か。“ロイホ”パンケーキ審査員のノーギャラ告白で広がる波紋、犠牲になる料理人と視聴者

今月26日に放送されたTBS系の人気番組「ジョブチューン ~アノ職業のヒミツぶっちゃけます!」を巡って炎上が続いている件で、審査員として出演した料理人の一人が、ノーギャラで出演していたことを告白し、さらなる反響を呼んでいるようだ。

番組は、一流料理人7名が審査員となり、ファミレスチェーン「ロイヤルホスト」のイチ押しメニュー10品をジャッジするといった内容だったのだが、同店の定番である「パンケーキ」に対して、審査員から「すごくケミカルな味」「古い形にこだわりすぎ」「家でも焼けるんじゃないかと思ってしまう」といった辛辣なコメントが集中し、審査員7名中6名が不合格とジャッジ。

これに対してSNS上では「昔ながらの味が支持されているのに、審査員のジャッジは不当」「大好きなメニューがボロクソ言われて悲しい」など、審査員らの不遜にも見える態度に反発する意見が殺到し、一時「ロイホのパンケーキ」なるワードがトレンド入りするまでに至ったのだ。

このような放送後に巻き起こった批判の嵐に対して、審査員の1人だった京都のフレンチレストラン「MOTOI」のシェフ、前田元氏は自身のフェイスブックで当番組への出演の経緯などを告白

そのなかで前田氏は、慢性的な人材不足に陥る飲食業界で「何かできる事があるのでは?」と考え、ノーギャラで出演をしたとコメント。しかし、実際のオンエアを受けては「批判を誇張する演出は残念」「飲食業が魅力的な業界だとは感じることができませんでした」と語るなど、自身の意図とはかなり異なる見せ方になっていたことへの無念が滲む内容となっている。

放送後、ロイホではパンケーキの売り切れが続出

「ジョブチューン」の一流料理人がコンビニの商品や外食チェーンのメニューをジャッジする企画を巡っては、今年のお正月に放映された特番でもひと悶着があったばかり。

その時は、コンビニチェーン「ファミリーマート」の商品が審査対象となっていたのだが、そのひとつだった「和風ツナマヨおにぎり」に対して、とある超高級イタリアンシェフが「見た目からして食べる気にならない」と、食べずに不合格とジャッジ。その理不尽すぎる判定に、ファミリーマートの女性社員が悔しさのあまりか泣いてしまったのだ。

このような見てる側の多くが不愉快になるような審査員の不遜な態度に、視聴者の怒りは爆発。その矛先は件のイタリアンシェフの営むの店に向く格好となり、グーグルマップ上では低評価の口コミが殺到するなど、大きな騒動となった。

ところがそんな騒動後、全国各地のファミマでは渦中のツナマヨおにぎりが、「ボロクソに言われた……」などと自虐も入ったポップとともに大々的に売り出され、売り切れとなる店も続出するなど大人気になったという。

実際、今回のパンケーキの件でも、テレビ放映後「一度食べてみたい」と、各地のロイホに客が殺到した模様で、店によっては売り切れといった事態になっているところも多くあるようなのだ。

“新手の炎上マーケ”との見方も浮上

テレビ局も昨今は広告収入の減少により、番組制作費を削減する方向となって久しいが、そのような状況と前後するように目立つようになったのが、今回取沙汰されている「ジョブチューン」、あるいはテレ朝系の「総選挙」シリーズなどでもよくみられる、企業あるいはその商品やメニューを、様々な切り口で紹介するといった内容の企画。

企業側としては、自社の売り物をテレビで大々的に取り上げてもらえるチャンスということで、諸手をあげて話に飛びつくところも多いいっぽうで、テレビ局側としても企業の全面協力で番組を安上がりに作れるうえに、うまくいけば新たなCM出稿の手がかりにも……といった思惑があるのも、この手の企画が量産されている背景となっているようだ。

そんななか「ジョブチューン」は、先述の“ツナマヨ事件”において、一般庶民のあいだで広く親しまれている商品を、あえてボロクソにこき下ろして視聴者を怒らせることで、番組の存在自体をバズらせるとともに、視聴者らの劣情や“判官びいき”的な感情を煽り、逆にその売上をアップさせてしまうという手法を生み出すことに。

そのことが果たして偶然の産物だったのか、あるいは最初から意図的なものだったのかは不明だが、今回のロイホの件に関して言えば、その“批判が誇張”される演出のターゲットに選ばれたのが、和風ツナマヨおにぎりと同様にリーズナブルながらもその味わいが広く愛されているパンケーキだったこともあり、SNS上からは「ツナマヨおにぎり事件から学んでない」との批判のいっぽうで、これはどうみても確信犯、あるいは“炎上マーケティング”ではないかといった見方も浮上しているといった状況だ。

しかし、テレビ局や企業側からすれば、番組の認知度がアップしたうえに商品が大いに売れるということで、まさにWin Winといったところだろうが、浮かばれないのが“飲食業界をなんとかしたい”といった純粋な気持ちで、番組内で“嫌われ役”を買って出たばかりに、オンエア後に散々な目に遭うこととなった審査員役の料理人たち。

しかも今回、一部の審査員はノーギャラで出演していたことも判明し、SNS上からは「過激な部分だけを切り取られて評判が下がる審査員側はデメリットの方が多くてかわいそう」といった、同情の声が多数あがっているようだ。

そうなるとこれ以降、こういった企画の審査員役のなり手探しにも困る状況となっていきそうなのだが、いっぽうで企業側の対応も今後どうなっていくのかも大いに気になるところ。

前回のファミマにくわえ、今回のロイホにしても、番組的にはディスられた側となる企業側を責める声は、今のところわずかといったところだが、今回の件で「ジョブチューン」という番組が、視聴者を扇動しての炎上マーケを狙ってくる番組だという評判が広く知れ渡れば、そのうえでテレビ局と結託しようするという企業に対しての印象も悪くなるのは当然の話。

ましてや、下っ端の女性社員が理不尽な詰められ方をして泣いちゃったところで、自社商品の売り上げが上がりさえすれば問題ない……といった過去のファミマみたいな態度を取ろうものなら、視聴者から「パワハラ容認か?」と怒りの矛先が新たに企業へと向く可能性も、今後は大いにありえそうだ。

Next: 「企画に乗ってるロイヤルホストも同罪」

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