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防衛費5年で43兆円、なぜ決断できぬ岸田首相がこれだけ即決?支持率撃沈も“先軍政治”に向かうワケ=今市太郎

とにかく米国を喜ばせたい岸田政権

防衛予算の倍増でもっとも喜ぶのは、兵器のほとんどを購入してくれることになる米国です。

それゆえに防衛費の増額を日本に猛烈に強要してくる構図があるのは、この領域に知見のない素人の国民でもすぐにわかる話。これまでも米国製の兵器購入は国内企業のライセンス生産を含めてほぼ言い値で買付を行っているのが実情となっていますから、これで米国のご機嫌をとることで政権の延命をはかることができるのでしょう。

しかし、予算原資も見当たらないなかで、これ以上「増税」でその費用を捻出することには広範な国民の理解が得られていないままの状態で、この国の窮乏化が加速するのは時間の問題に見えます。

とくにこの件で大きな問題なのは、米国兵器の買付決定時の価格と納入時の支払代金が大幅に乖離してすべからく言われるままの価格で高いものを買付させられていること。

防衛予算が対GDP比2%に増強されても、増額だけの数字が独り歩きするだけで、必ずしも適切な防衛予算の使い方になっていないことは再三国会でも野党から指摘を受けているものです。

長距離巡航ミサイル・トマホーク導入で防御から反撃へと勝手にシフト

さらに驚くのはこの防衛費の対GDP比2%への増額をきっかけにして、米国産の長距離巡航ミサイル・トマホークを最大500発購入しようとしていることです。

国会でその意図を求められた岸田総理は「反撃能力の保有に関し先制攻撃は国際法違反であり、あってはならない。それをしっかりと明らかにできる制度を作りたい」と答弁はしているものの、(安倍元総理の国葬の説明と同様に)実態とは大きくかけ離れた答弁で、国民の理解の得られない説明を繰り返し始めています。

トマホークの射程距離は1,250キロ以上で、日本に配備されることになれば北朝鮮を含む朝鮮半島全域のほか、中国本土の一部も射程距離に入ってきます。

この一方的な日本の軍拡化で、周辺国との戦争リスクは一段と高まることが予想される状況です。

上述のように軍産複合体が背後に存在するバイデン政権にとっては、この上もなく喜ばしいことなのでしょう。

しかし、支持率が日々急減してすでに「風前の灯」状態に陥っている岸田首相が、なぜここだけ猛然と話を進めてしまおうとしているのか。かなり理解に苦しむところとなっています。

これは紛れもなく北朝鮮の金正日がとってきた軍重視の政治方式、つまり「先軍政治」の世界を彷彿とさせる状況になろうとしていることが窺われるところ。

とうとう戦争を煽ることで、低支持率を一気に払拭させようとしているのかとさえ思う状況で、国会でもかなり勇ましい戦争論をぶち上げる自民党議員が目立ちはじめています。

Next: そもそもカルトとも決別できない政権が守るのは国民なのか?

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