クラウド事業はまだ成長分野だが、競争は激化している
AmazonはAWS(Amazon Web Service)、MicrosoftはMicrosoft Azure、GoogleはGCP(Google Cloud Platform)のブランドでクラウド事業を展開しており、各社とも成長分野として引き続き大きな投資を継続している。
足下のクラウドインフラでのシェアはAWSが31%、Microsoft Azureが24%、GCPが8%となっており、3社で全体の63%を占めている(2022年第2四半期実績)。
今回のAmazonの決算の発表でAWS事業の売上の成長率が過去最低の20%まで落ち込んでいるのだが、シェアで劣るGoogleなどが低価格でシェアを奪う攻勢をかけてきていると言われている。
3社内での競争が激しくなっており、同事業分野での利益率が悪化しているようである(一番シェアで劣後しているGoogleの同分野での営業損益は約30億ドルの赤字となっている)。
既存事業はピークアウト、これから始まるAI・AR/VR分野での激しい競争
5社とも既存事業についてはピークアウト感が出ているように感じられるが、すでに今後の成長分野としてAIとAR/VRの分野で激しい競争が始まっている。
<AI分野>
米国のOpen AIという企業が提供しているAIチャットボット(質問等に対してAIが答えるサービス)の「ChatGPT」というサービスが注目を浴びている。
Open AIは2015年にイーロン・マスクなどが資金を提供して設立された企業だが、2022年11月にWEBを通じて無料で利用できる「ChatGPT」のサービス提供を開始し、2023年1月には1億人のアクティブユーザーを獲得するまでに成長している。
すでに同社にはMicrosoftが100億ドル(約1.3兆円)の投資する交渉していると報道されている。
こちらの投資が実行されれば、Microsoftは同社株式の49%を所有するようになると言われており、事業面でもMicrosoftと連携していく予定である。
すでにMicrosoft からTeamsのプレミアム版にChatGPTと同じ自然言語処理モデルのGPT-3.5を搭載したという発表がされており、今後AI分野でより連携を強めていくことは間違いないだろう。
AI分野でMicrosoftに対抗するのはGoogleになる。
ニューヨークタイムズの記事によると、GoogleはChatGPTに対して「検索に取って代わられる可能性がある」としてかなりの警戒感を抱いており、GoogleのAIチームは新たなプロダクトの開発を急いでいるようである。
すでにGoogleが2021年に発表しているAI言語モデルである「LaMDA(Language Model for Dialogue Applications)」を数か月内に一般提供するよう進めているようだ。
消費者向けAIサービスではMicrosoftとGoogleが全面対決するということになりそうだ。