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今ここが人工知能「人間超え」の出発点。米国覇権の失墜、金融危機、大量辞職…2025年には劇変した世界が待っている=高島康司

「シンクロニシティー」が起こる

Futurepedia」というサイトがある。ここではすでに提供されている1,500を越えるAIの商用サービスが検索できる。ぜひとも見ていただきたい。

しかし、こうしたAIの「シンギュラリティー」による変化は単独で起こるわけではない。記事が長くなるので具体例は出さないが、過去の歴史でも多くの事例があるように、ある分野の革命的な進化と発展は、まったく異なった領域の本質的な変化とシンクロしながら進む。

これらの領域は相互に直接的には関連しておらず、本質的な変化が、それこそ同時並行で起こるのだ。いま「シンギュラリティー」が始まる中、これとシンクロした変化は、世界秩序から経済や政治、そして我々の社会のあり方を根本的に変える変化が起こっている。

それらの変化には直接的な因果関係はないものの、それらは相互に刺激しあって変化をさらに加速させる。いわば、「シンギュラリティー」で起こった変化の振動が、他の領域にも同じ振動数で伝播しているかのような状態だ。

そうした根本的な変化を順次見ることにする。

アメリカの覇権の失墜から多極型世界秩序へ

まず同時並行的に起こっている変化の中で最大のものは、アメリカの覇権の本格的な失墜と中ロを主軸とした多極型秩序の台頭である。

この多極化の動きは、2003年のイラク侵略戦争からすでに徐々に始まっていたが、ウクライナ戦争の勃発が背景となり、一挙に加速した。いわば2003年から蓄積された小さな変化は2023年になって臨界点に達し、世界秩序の構造的な転換を促す変化になった。

この3月に行われたプーチンと習近平との首脳会談は、多極型秩序への転換を一挙に進めるタイミングで実施された。ロシア軍に優勢に戦いが進行しているものの、欧米の支援を得たウクライナ軍は激しく抵抗しており、戦線は泥沼化している。アメリカを中心とした西側諸国も政治的決着以外に停戦の方法はないと思っている。そうした時、習近平は中国の「12項目」の方針を明確にした和平案を提示し、中国が仲裁役を引き受ける用意があるとした。

ウクライナ戦争で中国とロシアの関係がこれまでになく強化されている。ウクライナ戦争が中国の仲裁によって終結するようなことにでもなれば、中国の国際的な威信は一挙に高まり、中ロによる多極型秩序を形成する動きはさらに具体化しながら加速することだろう。多極型秩序と言っても、それを安定した秩序として構成するためには「IMF」や「世界銀行」などのような国際機関が必要になる。必要なものを列挙すると次のようになる。

・新国際決済通貨
・一帯一路を基軸にした新国際経済秩序
・新しい国際機関による管理体制(新世界銀行、新IMFなど)
・国際紛争の調停機関としての新たな国際組織
・中ロを基軸にした新しい安全保障の体制
・中ロ基軸の新軍事同盟
・西側の民主主義とは異なる社会経済モデル

いま水面下でこうしたものの形成が進んでいるようだ。中国の仲裁によってウクライナ戦争が万が一終結するようなことでもあれば、多極型秩序の現実的な構成に必要な組織や機関、そして取り決めは一挙に具体化する可能性がある。ここまで来ると、アメリカの覇権失墜は決定的となり、不可逆的となる。世界は新しいルールで動くことになる。

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