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唐揚げ専門店、倒産数が過去最多で「ブーム終息」との声も店舗数は微増?派手な閉店ラッシュを続ける某チェーンに業界内からあがる“恨み節”

国内最大手の信用調査会社である帝国データバンクが、唐揚げ専門店の倒産数が過去最多にのぼったとここにリンクが貼られることが、大きな話題となっているようだ。

同社の調査結果報告によれば、持ち帰りを中心とした「唐揚げ店」運営企業の倒産は、2023年1~6月の間に9件判明したとのこと。これまで最多だったのは21年の“年間6件”で、今年はこれをすでに超え、過去最多を更新しているとのこと。

ただ、帝国データバンクが収集しているのは「負債1,000万円以上の法的整理による倒産」ということで、唐揚げ店の多くが1~2店を展開する小規模な事業者であることを考えれば、水面下の廃業や閉店を含めると、実際はより多くの唐揚げ店が淘汰されたとみられると、同調査では言及している。

唐揚げブームの栄枯盛衰を体現する「から揚げの天才」

2010年代の“中食ブーム”に乗り、全国に出店が増えた唐揚げ専門店。さらにコロナ禍以降は、外食産業が軒並み打撃を受けるなか、その反面でテークアウト需要が非常に高まったことで、唐揚げ専門店はさらに店舗を増やしていくこととなった。

そんな唐揚げ専門店の人気が高まるにつれ、目立つようになったのが大手飲食チェーンの参入。とんかつ専門店「かつや」を展開するアークランドサービスホールディングスは「からやま」などのチェーンを、すかいらーくグループのすかいらーくレストランツは「から好し」、また居酒屋チェーンだとモンテローザが「からしげ」、そしてワタミは「から揚げの天才」を、その資本力をバックに急ピッチに店舗展開を進めていった。

一般的な飲食店と比べても比較的少ない資金で開業まで漕ぎつけることができる点も、空前の開業ラッシュを誘因したとされる唐揚げ専門店だが、このように大手飲食チェーンも参入にするに至って、市場はたちまちレッドオーシャン化。

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しかも、輸入鶏肉や食用油などの原材料価格が急騰したことで、唐揚げ専門店のメリットであった“原価の安さ”が無くなり、多くの唐揚げ専門店が窮地に陥っているということのようだ。

現にSNS上でも“近所の唐揚げ専門店が早々と潰れた”といった投稿を、ここ1年ぐらいで多く見かけるワケだが、特に“閉店ラッシュ”だとメディアなどでも伝えられることの多かったのが、先述したワタミが展開する「から揚げの天才」。

2018年11月に東京都大田区に1号店を出店した「から揚げの天才」は、瞬く間に店舗数を増やしていき、なんとその2年7か月後の21年7月には100店舗を達成

日本の外食チェーンでは最速記録だったということで、その後も120店ほどまで拡大したとのことだが、21年末からは早くも閉店が目立ち始め、今年1月には60店舗程度と半減。その後も閉店ラッシュは止まらないようで、今現在同店の公式サイトにある店舗検索で確認できる店舗数は、わずか42店舗に留まっている状況だ。

唐揚げ店に限らずテークアウト専門店は今後厳しい?

このように、近所の唐揚げ店の閉店であったり、また「から揚げの天才」のような非常に分かりやすい“ブームの栄枯盛衰”ぶりを伝える報道も多々あったということで、今回報じられた唐揚げ専門店の倒産が過去最多という報道も、多くの人にとっては“さもありなん”といった反応のよう。

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かねてから唐揚げ専門店に関しては「だいたいどこも美味しいし全店舗だいたいなんかの金賞受賞してる」などと、飽和状態なうえに差別化もされていない状況を指摘する声も多く、そういったところもブームの“盛り下がり”を予見する見方に繋がっていたようだ。

ただ、そんな唐揚げ専門店の“苦境”が伝わるなかにあって、店舗数自体は減っていないと主張しているのが日本唐揚協会。

先述した唐揚げ専門店の店頭などでよく見かける「からあげグランプリ金賞受賞」との文言だが、その“からあげグランプリ”を主宰しているという同団体によれば、全国にある唐揚げ専門店の数は、22年が4,379店だったのに対して23年は4,388店と、減るどころか微増しているというのだ。

また同団体によれば、唐揚げの本質は“固さ・臭み”をちゃんとクリアできているかということなのだが、閉店が相次いでいるといわれる某大手チェーンによる唐揚げ専門店は、揚げる前のタレへの漬け込みが浅く、それにより肉に臭みが残ってしまっているといい、「正直言うと、潰れている店のほとんどはそこだけというか……」との発言も。

日本唐揚協会側が、果たしてどの唐揚げ専門店を念頭に置いてこの発言をしたのかは、決して断定はできないのだが、派手な閉店ラッシュで耳目を集める某チェーンのおかげで、唐揚げブーム自体が盛り下がっていると世間からみられている現状に、ある意味で怨み骨髄といった感情のようだ。

ただ、そうはいっても“過去最多の倒産”という今回の報道と、日本唐揚協会の“店舗数自体は微増”という話は、決して相反するものではなく、粗悪な店は淘汰されるいっぽうで、新規開店もまだそこそこある状況での店舗数微増……とも考えられるところ。

しかし、近年唐揚げ専門店を苦しめてている原材料の高騰は相変わらずといった状況で、しかも世の中は“ポストコロナ”ということで、唐揚げ専門店に限らずテークアウト需要を当て込んだ業態は、今後当分は厳しいのでは……といった見方も。

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唐揚げ自体は日本人の間で非常になじみの深い“国民食”と言ってもいい食べ物なだけに、過去に大流行した“白いたい焼き”などのように、今やどこにも見当たらないといった状況になることは考えられないが、果たしてブームによって増えた店舗がそのまま定着するのか、それとも大淘汰の時代を迎えるのか、ここ1~2年がまさに正念場と言えそうである。

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