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「日立」復活は日本経済の“再起”に繋がる偉業。海外からも日本企業の再生モデルとして評価。近づく名目GDP600兆円=勝又壽良

名目GDP600兆円

日本企業が、国内の経済状況を悲観的に見ているならば、あえて国内の供給能力を引き上げることを回避するであろう。

それが、前述のように今後3年程度で「強化」が51%も占めている。国内の状況変化を読んでいるに違いない。それは、国内経済の好循環が進むという展望の結果である。労働力不足は激化するが、賃上げと製品値上げという循環の中で、解決可能と踏んでいるはずだ。

正当なコストアップであれば、販売価格へ転嫁して差し支えない。それが、賃上げを実現して労働力を確保できる理由である。こういう好循環を維持できる見通しの裏には、強い自社の技術競争力に自信があるはずだ。だから、コストアップ分を価格に転嫁できるのであろう。

賃上げと価格転嫁という好循環が定着すれば、名目GDPは自然に膨らんでゆく。これが、日本経済の病根を直す治療薬になる。社会は、名目値で動いている。名目値が増えれば税収も増えるので、社会保障費を増やして陽に当たりにくい層への配慮も実現する。社会の不平不満は減って行くのだ。

中国は、名目GDP増加を不動産バブルで実現してきたが、ついに限界点にぶつかった。日本がこれから進めるのは、そういうキワモノでなく、まっとうな賃金アップと価格転嫁の実現という正攻法によるものである。

日本の内閣府は7月、2024年度の名目GDPを601.3兆円と発表した。600兆円は、2015年に安倍首相(当時)が打ち出した目標でもある。この間の名目GDPは、横ばい状況を続けた。

15年度は540.7兆円。22年度も561.9兆円と21兆円あまりの増加にとどまったのだ。それが、内閣府予想では23年度に586.4兆円と、前年度比で24兆円余の増加となる。そして、ついに24年度に600兆円をうかがうというのだ。

実現は遅れたが、名目GDP600兆円実現は、次なるステップへ踏み出す大きなきっかけになる。それは、3%を超す賃上げと3%の消費者物価指数が前提になる。賃上げと価格転嫁が、経済に好循環を生む源泉なろう。

考えてみれば、「コロンブスの卵」だ。難しいことを行ったわけでない。日本の企業間で、高い賃上げとその一部を価格転嫁することを了解しただけの話だ。換言すれば、意識改革が生んだ名目GDP増加になろう。この裏には、労働力不足という現実問題があり、それを賃上げで解決するという暗黙の了解をしたのである。

だが、労働力不足という「絶対的条件」に変わりない。この問題をどうするのかである。

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