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防衛費のためにNTT株を売る岸田政権のトンデモ理論。国防の重要企業を手放して大丈夫か?=鈴木傾城

最近、日本政府は政府保有のNTTを売却する方向で動きはじめている。「国防のために防衛費を増額したい」と考えて「国防のために重要な企業の株式を売却する」というのだから、これは非常に稚拙な考え方なのだが、岸田政権はなぜそんなことを考えているのか?(『 鈴木傾城の「ダークネス」メルマガ編 鈴木傾城の「ダークネス」メルマガ編 』)

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プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)
作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」を運営している。

基地局のバックドアどころではないことが起こる?

最近、日本政府は政府保有のNTTを売却する方向で動きはじめている。自民は萩生田光一政調会長が主導して「課題を整理する」ということなのだが、NTTは経済安全保障上、非常に重要な役割を果たしている企業であり、これを売却することに対しては根強い反対意見もある。

たとえば、高市早苗経済安全保障担当相はこのように述べる。

「NTTは経済安保にも関係の深い機微な研究開発をしている。仮に懸念国に全部買い上げられてしまうというような観点を踏まえた議論を期待する」。

NTTは通信分野で日本を代表する企業なのだが、現代は高度情報化社会であり、この社会においては通信というインフラは絶対に守られなければならないものである。ここを懸念国に掌握されるようなことになると、日本人のプライバシーは一瞬で消えていく。

たとえば、ファーウェイなどは基地局にバックドアを仕組んで他国の情報が中国に流れるようにしたことで全世界から排除されることになったのだが、NTTが懸念国に買収されると、基地局のバックドアどころではない。

NTTそのものが日本人の全情報を中国に垂れ流しする売国企業になることもあり得るのだ。

「日本を乗っ取る」と言っても乗っ取り方はいろいろあるわけで、日本全土の国土を買いまくって乗っ取る方法もあれば、通信の中枢を乗っ取る方法もあるということだ。NTTは通信の中枢なのだから、この企業は十分にターゲットになり得る。

NTTの時価総額は現在14.52兆円である。

仮に1.5兆円でNTTの株式を買えば大株主としてNTTに影響力を与えることができるようになり、懸念国に有利な経営に転換させることも可能になる。約8兆円でNTTを乗っ取ることもできる。

防衛費増額のために、国防のために重要な企業の株価を売却する…

仮に日本政府がNTT株をすべて市場にリリースした後、NTTになんらかのスキャンダルが発生して株価が暴落したとき、買い占めが静かに発動するようなことが起こるかもしれない。

そして、そのスキャンダルは、実は懸念国によって周到に仕組まれたものになるのかもしれない。そういうことは、通常ではなかなか起こり得ないが、世の中は常に通常であるとは限らない。

だから、高市早苗議員は「懸念国に全部買い上げられてしまうというような観点を踏まえた議論を期待する」と国防への懸念を表している。

馬鹿馬鹿しいのは、岸田政権がNTTを売却する理由である。なぜ今になって急に岸田政権はNTTを売却しようと動いているのかと言えば、「防衛費増額の財源に充てる方向」だからである。

「国防のために防衛費を増額したい」と考えて「国防のために重要な企業の株式を売却する」というのだから、これは非常に稚拙な考え方であることがわかるはずだ。

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