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東芝「非上場化」へTOB開始、買収額2兆円規模も再生は可能なのか?主力事業なき東芝が生き残る道=澤田聖陽

東芝の事業ポートフォリオ

非上場後に東芝の再生は可能なのかを検証するのに、まず東芝の現在の状況と事業ポートフォリオを検証したい。

2023年3月期の決算は以下のとおりとなっている。

売上:3兆3,617億円(前期比0.7%増)
営業利益:1,105億円(前期比▲30.4%減)

次に各セグメント別の状況を見てみるが、東芝の事業セグメントは下記に記載の6つのセグメントとその他事業に分かれている。

<1. エネルギーシステムソリューション>

原子力、火力などの発電施設、水力・地熱・太陽光・風力などの再生可能エネルギー発電システムの事業を展開している。また配電システムや、分散型エネルギー資源を有効活用するVPPなども行っている。

2023年3月期
売上:6,695億円
営業損益:304億円
(総売り上げに対する売上比率:19%)

<2. インフラシステムソリューション>

上下水道システム、道路システム、鉄道交通システム、放送システムなどのインフラの製品・システム・サービスを提供している。

2023年3月期
売上:6,932億円
営業損益:450億円
(総売り上げに対する売上比率:19%)

<3. ビルソリューション>

エレベーターやエスカレーターなどのビル・施設向け昇降機・照明などの製品・サービスを提供している。

2023年3月期
売上:4,481億円
営業損益:59億円
(総売り上げに対する売上比率:12%)

<4. リテール・プリンティングソリューション>

POSシステム、複合機などの製造・サービスを提供している。

2023年3月期
売上:5,131億円
営業損益:▲41億円
(総売り上げに対する売上比率:14%)

<5. デバイス&ストレージソリューション>

車載・産業用半導体、データセンター向け大容量HDD、半導体製造装置や部品・材料などの製品・サービスを提供している。

2023年3月期
売上:7,971億円
営業損益:429億円
(総売り上げに対する売上比率:23%)

<6. デジタルソリューション>

人工知能(AI)などのデジタル技術や、量子関連技術など東芝の強みである技術を使って、デジタルソリューションを提供している。

2023年3月期
売上:2,356億円
営業損益:270億円
(総売り上げに対する売上比率:7%)

ご覧のとおり東芝の事業ポートフォリオはかなり広範囲に分散している。

今後収益力を高めていくには、どの分野に集中的に経営資源を投入していくかが重要になるが、結論としては競争力のあるエネルギーソリューション、インフラシステムソリューション、デバイス&ストレージソリューション、デジタルソリューションの4分野に集中していく必要があるだろう。

Next: 現状は強みナシ?東芝の生き残る道は…

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