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東芝「非上場化」へTOB開始、買収額2兆円規模も再生は可能なのか?主力事業なき東芝が生き残る道=澤田聖陽

8月8日から日本産業パートナーズ(JIP)を中心とした国内連合による東芝へのTOBが開始された。TOBは9月20日まで、TOB価格は4,620円で全株取得を目指す。非上場後に東芝の再生は可能なのだろうか?東芝の現在の状況と事業ポートフォリオを検証しながら、将来性のある事業について考えたい。(『 元証券会社社長・澤田聖陽が教える「投資に勝つニュースの読み方」 元証券会社社長・澤田聖陽が教える「投資に勝つニュースの読み方」 』澤田聖陽)

※本記事は有料メルマガ『元証券会社社長・澤田聖陽が教える「投資に勝つニュースの読み方」』2023年8月8日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:澤田聖陽(さわだ きよはる)
政治経済アナリスト。国際証券(現:三菱UFJモルガン・スタンレー証券)、松井証券を経て、ジャフコ、極東証券にて投資業務、投資銀行業務に従事。2013年にSAMURAI証券(旧AIP証券)の代表に就任。投資型クラウドファンディング事業を立ち上げ拡大させる。現在は、澤田コンサルティング事務所の代表として、コンサルティング事業を展開中。YouTubeチャンネルにて時事ニュース解説と株価見通しを発信している。

いよいよ「東芝」非上場化へ

8月8日から日本産業パートナーズ(JIP)を中心とした国内連合による東芝へのTOBが開始された。

TOBは9月20日まで、TOB価格は4,620円で全株取得を目指す。

成立要件は発行済み株式の3分の2以上の応募となっており、成立しても応募が9割未満であった場合は、11月を目途に臨時株主総会を開き、株式併合の議案を諮り、可決されれば上場廃止となる。

JIP連合は東芝を上場廃止して、再生後に再上場を目出す方針だ。

非上場化のスキームとその背景

東芝のTOBによる非上場化については、JIPが取りまとめ役となり、オリックス、ローム、中部電力、ゆうちょ銀行など約20社が合計1兆円を出資、三井住友銀行、みずほ銀行、三井住友信託銀行などの銀行団が最大1兆4,000億円をJIPに融資する。

これは融資を使ってレバレッジを掛けて企業を買収するLBO(レバレッジドバイアウト)というスキームだ。

銀行団からの借入については、東芝のキャッシュフローから返済していくことになる。

オリックスやロームなどの出資者は、投資利益だけでなく東芝とのアライアンスを期待しての出資だろう。

東芝がTOBによる非上場化に至った経緯であるが、2017年に米原発事業の失敗等によって債務超過に陥り、海外投資家に対して増資で新株の割当てを行ったのだが、その中にアクティビストと呼ばれる物言う株主がいたことで、その後は株主対策に苦労することとなる。

当初はアクティビストとの会話によって解決を計ろうとしていたが、難航した後に第三者による買収で非上場化という選択となった。

海外ファンドも興味を示していたが、東芝は原発事業などがあり、安全保障上外為法の規制対象となるという壁があるため、結局JIPを中心とした国内連合によるTOBによる非上場化ということとなった。

Next: 再生は可能なのか?東芝の事業ポートフォリオを見ると…

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