サッカーJ2リーグの「ツエーゲン金沢」の事務所に対して、「選手がコーラ飲んでる」といった通報をする者がいるという話が、同クラブのスタッフにより紹介され、大きな波紋を呼んでいるようだ。
苦しい状況なので色々なご意見ある事は承知しておりますが、「選手がコーラ飲んでる」通報を事務所にするのはやめて頂きたいです。クラブスタッフも対応に苦労します。
— 辻尾 真二 (@tsujitail) September 4, 2023
話題になっているのは、ツエーゲン金沢のOBで現在はクラブアンバサダーとして同クラブに関わっている辻尾真司氏によるSNS上への投稿。
ツエーゲン金沢は現在、J2リーグにおいて降格圏内と苦戦が続いていることもあり、辻尾氏も「苦しい状況なので色々なご意見ある事は承知しておりますが」としながらも、それでも“選手がコーラ飲んでる”という通報に関しては「クラブスタッフも対応に苦労します」と、止めて欲しいということを訴えている。
“正義中毒”にハマり抜け出せない人たち
つい最近も、救急車でコンビニなどに買い物に寄った消防職員に対して「救急車のガソリン代は税金から出ているだろう」という文句が寄せられたり、またバス会社に対しては、高速バスの運転手が休憩中にサービスエリアでカレーを食べていたことを咎める苦情が入ったりと、理不尽すぎるクレームが話題になることが多い昨今。
先のコロナ禍では、マスクをつけていない人間を罵倒する、あるいは他県ナンバーの自動車を傷つけるなど、いわゆる“自粛警察”と呼ばれる者らの存在が大いに取沙汰されたが、自分本位の行き過ぎたあるいは偏った正義感でもって、他人を糾弾するという意味では、これらも同根といったところ。
それゆえ今回の件も、自粛警察ならぬさしずめ“コーラ警察”だということで、そのクレーム内容の馬鹿馬鹿しさに失笑やら呆れる声やらが多くあがっているといった状況である。
コーラ警察www👮🚓🚨
まぁうちの選手がアクエリ飲んでたら通報してもええな🚨🚓🚨🚓🚨 https://t.co/Qd0lSaEsDV— 🇸🇱チャーリー🇸🇱 (@Charles_wain) September 4, 2023
まあ、勿論選手の食事の自己管理って言ったら分からなくはないけども、コーラを飲んだだけでコーラ警察というのも何なのかなとは思う。飲みすぎや糖分の取りすぎまでの影響はダメだけど。変に取り締まるファンやサポがいるんだな。 https://t.co/ckyf7SKGST
— きーん (@KeaneKea) September 4, 2023
マスク警察の次はコーラ警察ですか
はぁ😞💨Jクラブ社長は“正義感からの行動”に一石。金沢OBの“コーラ通報”告白が波紋 https://t.co/uhJQ50KyL7 #スマートニュース
— ゆーすけ (@micchy1001) September 4, 2023
こういった他人の些細な粗を探しては、糾弾しようとするクレーマーのような手合いの存在は、傍からみれば何がそのモチベーションとなっているのか、全く意味不明といったところなのだが、どうやらそういった者たちは、攻撃対象を見つけて“正義の制裁”をくわえることで、脳の快楽中枢が刺激され、快楽物質のドーパミンが放出されるといった、いわゆる“正義中毒”となっている可能性が高いとの話も。
この快楽に一度ハマると簡単には抜け出せず、次から次へと罰するべき人間を探し求めるという、いわば依存状態に陥るとのことで、この手の理不尽クレームが世間から絶えることがないというのも、こうしてみると頷けるところでもある。
さらには昨今ではYoutubeなどで、痴漢や盗撮犯あるいは転売ヤーなどを“私人逮捕”する様子を映像に捉えるといった、「正義系youtuber」と呼ばれる手合いも急増しているとのこと。
その独善的な行動に対しては「正義感を振りかざした暴力」と眉を顰める反応もある反面、「もっとやるべき」「正義の鉄槌を与えてくれてすっきりする」と称賛する声もあるという。事の是非はともかくとして、こういった“正義の制裁”がコンテンツとして成立し、金になる時代にまでなっているというのだ。
理不尽クレームが“大喜利大会”に発展へ
そんななか今回の「選手がコーラ飲んでる」の件も、その内容自体は非常に馬鹿馬鹿しいものだとはいえ、辻尾氏の投稿にも「対応に苦労します」とあるように、そういったクレーマー、あるいは“正義マン”を相手にするのは、無駄に時間やメンタルを削がれてしまうというのが正直な話。
また、無碍な扱いをすると逆上する恐れがあるということで、相手の話に対してまともな対応をしてしまうと、それはそれでクレーマー側にある種の成功体験を与えることにもなり、さらに同じようなことを繰り返される可能性が大ということで、そういった意味でも対応には大いに苦労するといったところのようだ。
ただ、いっぽうで今回の件では、「選手がコーラ飲んでる」の投稿から転じて「“はい徳島ヴォルティスです” “お宅の選手がアクエリアスを飲んでいたのですが”」「“はい名古屋グランパスです” “お宅の選手が日産の車に乗っているのですが”」などといった、各クラブごとにありえそうなクレーム電話のパターンを挙げていくといった、さながら大喜利のような展開に。
歪んだ正義感から大真面目に「選手がコーラ飲んでる」と通報した手合いからすれば、まさか自分のクレームがここまでSNS上などで話題となり、しかも大喜利のネタにまでされるとは、思ってもみなかったところか。これをきっかけに件のクレーマーも自らの恥ずべき行為を反省し、自重することを大いに願いたいが、そうは簡単にいかないだろうというところが、この手の話の闇の深さといえそうだ。
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