四輪事業の急回復「3つの要因」
四輪事業の業績回復の要因は、大きく以下の3つの理由が挙げられる。
1. コロナで需給がひっ迫して新車価格が上昇し、1台当たりの粗利益が増えた
2. 半導体の供給不足が緩和され、生産が回復した
3. 円安によって円ベースでの売上が増加した
次に地域別の四輪事業の販売台数を見てみると、以下のとおりとなっている(括弧内の記載は前年同期比)。
日本:11万5,000台(98.8%)
米国:34万7,000台(144.7%)
中国:30万9,000台(95.0%)
米国での販売台数は大きく伸ばしているのに対して、日本国内及び中国での販売台数は減少している。ホンダの四輪事業については、米国への依存度が高いことが分かる。
二輪事業は安定的に利益を出せる状況にある
二輪事業は他の自動車メーカーにはないホンダの強みであるが、引き続きアジアでの販売が好調だ。
主要国での販売実績は以下のとおりとなっている(括弧内の記載は前年同期比)。
インド:95万2,000台(95.7%)
ベトナム:50万6,000台(95.1%)
タイ:39万5,000台(118.3%)
インドネシア:111万5,000台(163.0%)
ブラジル:27万1,000台(98.6%)
インドでは半導体供給の影響、ベトナムでは景気減速の影響などを受け、販売台数を晴らしているが、タイやインドネシアでは大きく販売台数を増やし、全体では447万3,000台と前期比5.2%増と販売数を増やしている。
ホンダの二輪事業は、今後成長することが予想されるグローバルサウスと呼ばれる国々の経済成長の恩恵を最も受けられる事業だ。
二輪事業での世界での販売台数は圧倒的トップだし、新興国でのブランド力も高い。
今後も安定的に利益を出せる事業と考えている。
足下の業績は好調、しかし将来戦略に不安あり
ホンダの第1Qの業績を見ると、総論「好調」だと言える。
四輪事業の収益が回復してきたことで、もともと安定的な二輪事業の利益に四輪事業の利益が付加され、会社としては高収益体質になった。
四輪事業は米国依存度が高いというリスクがあり、米国経済が本格的な景気後退期に入った時は四輪事業の収益が悪化するという懸念はある。
ホンダは欧州での販売は弱く、米国以外では日本及び中国での販売台数が大きいが、日本は高齢化によってマーケットは今後大きく伸びる可能性は少ないし、中国はバブル崩壊による不景気と自国産EVの販売などを優遇する政策によって苦戦している。
どちらも米国での販売が減少した場合に補う力はない。今のホンダの四輪事業の状況だと、米国経済頼みというのは致し方ない状況だろう。
もう1つ気になるのは、ホンダが打ち出している「EVシフト」だ。