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円安が追い風「ブリヂストン」株は買いか?長期投資のプロが成長性とリスクを徹底分析=佐々木悠

投資していい?

それでは最後に株価の推移を見てみましょう。

ブリヂストン<5108> 日足(SBI証券提供)

ブリヂストン<5108> 日足(SBI証券提供)

10月4日の終値時点のPERは11.6倍です。過去10年のPERは11.4倍ですから、過去の水準から大きく外れていることはありません。

しかし、気になるのは、前期は為替による恩恵があったことです。

最後に、為替の変動によって、どれくらい業績に影響を与えるのか?を考えたいと思います。

22年12月期の当初の為替見通しは112円でしたが、通期は132円でした。

これに対し営業利益に与えた影響は+900億円でした。

 

つまり、為替が見通しよりも1円「円安」になると、営業利益は45億円プラスの影響を与えると推測できます。

今期23年12月期の為替見通しは123円です。為替が今後どのように動くかはわかりませんが、現在は1ドル=150円近くで推移しています。

従って、今期も為替が1ドル=150円前後で推移した場合、業績に対し前年よりも大きなプラス影響を与える可能性があります。

ざっくり営業利益に対する為替の影響を反映させ当期純利益を算出し、過去平均PERの12倍を乗じた場合の参考株価を計算します。

為替が1ドル=150円で推移した場合の参考株価は、7,197円。現在との乖離率は約23%です。

 

逆に、(考えにくいですが)急激な円高が進み1ドル=120円だった場合の参考株価は、5,658円。現在との乖離率は約-2%です。

現状の為替水準を参考にするのであれば、割安感があると言って良いかもしれません。

しかし、業績変動は為替以外の要因でも起こるため好調の要因が為替による影響が大きいのか?本業の調子が良いのか?を見極める必要があります。

ブリヂストンは多くの雑誌に取り上げられ、配当利回りも3.5%を超える魅力ある銘柄です。ビジネスは上にも下にも変動が少ない企業とも言えます。中期経営計画から読み取れる戦略に対し、期待できる!と感じるのであれば投資対象としても良いでしょう。

繰り返しになりますが、為替リスクと外部環境の影響が大きいことを理解したうえで投資されてはいかがでしょうか?


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image by: GVLR / Shutterstock.com
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バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』(2023年10月5日号)より
※記事タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。

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