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ブラックマンデー前夜と酷似?現在の市場に3つの共通点。いま個人投資家はどう備えるべきか=栫井駿介

最近の株式市場の様子を見ていると、多くの専門家がブラックマンデーと現在の状況が似ているのではないかと指摘しています。ブラックマンデーは1987年の出来事ですが、本当に似ているのでしょうか?そして、我々はいま何に備えるべきかを考えてみたいと思います。(『 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』栫井駿介)

プロフィール:栫井駿介(かこいしゅんすけ)
株式投資アドバイザー、証券アナリスト。1986年、鹿児島県生まれ。県立鶴丸高校、東京大学経済学部卒業。大手証券会社にて投資銀行業務に従事した後、2016年に独立しつばめ投資顧問設立。2011年、証券アナリスト第2次レベル試験合格。2015年、大前研一氏が主宰するBOND-BBTプログラムにてMBA取得。

今の状況はブラックマンデーと類似?3つの共通点

現在の市場は、次の3点から「ブラックマンデー」に似ている可能性が指摘されています。

<1. 金利上昇下での株価上昇>

一般的に、金利が上昇すると株価が下落しやすいと言われています。
これは、金利上昇により債券の魅力が増すためです。
例えば、アメリカの10年国債の利回りが5%である場合、株式の配当利回りが5%に満たないことが多いため、債券の方が魅力的に見えることになります。
しかし、現在は金利が上がっているにもかかわらず株価は下がっていません。
長く続いている金融緩和で資金が溢れていて、ある種バブル的な状況になっているのではないかという見方もあります。

<2. インフレの進行>

政策当局が金利を上げてインフレを抑えようとしているため、これも株価に悪影響を及ぼす可能性があります。

<3. 中東不安>

さらに、中東の不安定な情勢も、かつてのオイルショックのように世界経済に影響を与える可能性があると言われています。

これらの要因から、市場がブラックマンデーのように暴落するのではないかと懸念されています。

なぜブラックマンデーは起きたのか

ブラックマンデーはなぜ起きたのでしょうか。

ブラックマンデーは、前夜まで株価上昇が続いていたことがまずあります。
短期的に見ると、上がった株価には下げ圧力が加わりやすくなります。
信用取引を行っていた人たちが同時に利益確定をしようとすると、売り圧力が高まるからです。

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出典:投資の森

これは当時のアメリカのダウ平均株価の推移です。
1985年のプラザ合意で米国ドル安が容認され、アメリカでインフレが進みました。
そのインフレを抑えるために利上げが行われていたのですが、プラザ合意からブラックマンデー直前までの約2年間で株価は2倍以上となっていました。
株価が上がっていた分、急落もしやすくなり、ブラックマンデー1日で22%も下落しました。これは過去最大の下落です。

また、それまでは無かったコンピューター取引が増えてきていて、パニックを引き起こす要因となった可能性も考えられます。

さらに、国際関係で経済的な緊張も高まっていた時期で、市場が過敏に反応しやすかったことも要因として挙げられます。

これらの要因からパニック売りが起こってしまい、それがブラックマンデーとなりました。

例えばリーマンショックの時には、リーマン・ブラザーズが破綻するなど実体経済に起因する、あるいは、実体経済に影響を与えるものでしたが、ブラックマンデーによって景気後退が起こったということはなく、あくまで株価のみが混乱によって下がってしまったというものでした。

今の状況も、実体経済に関わらず株価だけが下がってしまう事態を想定しているものと思われます。

Next: 市場にパニックが起こる?金利の上昇が株価に与える影響

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