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利回り5%!バフェットも買い増しする「米国債」は買いか?日本人投資家が注意すべき3つのリスク=栫井駿介

今回は米国債についてお話ししたいと思います。皆さんご存知だと思いますが、現在、米国の金利が上昇しており、利回りで言うとおよそ5%になっています。米国債はいわゆるデフォルト(債務不履行)の心配がほぼないと言える状況で、5%の利回りは非常に魅力的に思えるかもしれません。しかし、日本で生活しているのであれば、米国債への投資は私はあまりおすすめしていません。なぜそう感じるのか、具体的なリスクを説明してみたいと思います。(『 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』栫井駿介)

プロフィール:栫井駿介(かこいしゅんすけ)
株式投資アドバイザー、証券アナリスト。1986年、鹿児島県生まれ。県立鶴丸高校、東京大学経済学部卒業。大手証券会社にて投資銀行業務に従事した後、2016年に独立しつばめ投資顧問設立。2011年、証券アナリスト第2次レベル試験合格。2015年、大前研一氏が主宰するBOND-BBTプログラムにてMBA取得。

米国債の特徴

下記は10年国債の利回りのグラフです。

米国債10年 週足(SBI証券提供)

米国債10年 週足(SBI証券提供)

10年国債の場合、1年あたりに約4.5%の金利が得られると言えます。

ただし、金利は少し複雑で、正確に言うと毎年4.5%ずつの金利が入ってくるわけではありません。
特に、ゼロクーポン債と呼ばれるものも存在します。
これは、購入時と売却時の価格差を考慮すると、結局のところ1年あたりの利回りが4.5%になることがあります。

例えば、最終的に100円で償還される債券が80円で発行されているものが「ゼロクーポン債」であり、金利がついているものでも、相場の状況を見て100円よりも安く買って毎年の金利と相場の値上がり分を合わせると結果的に1年あたり〇%になる、というものが最終的な利回りの概念です。

少し難しいですが、簡単に「毎年〇%の金利がもらえる」と考えてもよいかと思います。

米国債は証券会社で購入できます。

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出典:マネックス証券

マネックス証券の例で説明すると、2024年10月31日満期・米ドル建て2.25%の米国国債というものがあり、これは例えば100ドル買ったとしたら毎年2.25ドル入ってくるということになるわけですが、額面価格の97.16%とあり、実際には100ドルのところを97.16ドルで買って、結果として1年あたりの利回りが5.27%となるということです。
残存期間が1年となっているので、1年の定期預金のようなものと考えればよいと思います。

債券の残存期間は異なり、ここにあるものでも1年から9ヶ月のものから5年4ヶ月のものまでさまざまです。
債券は株式と異なり、市場でオープンに取引されるわけではなく、証券会社が債券を取得し、個人投資家に販売するという仕組みです。
そのため、売り切れの状況が発生することもあるので、注意が必要です。

また、条件は発売時期によって異なり、金利や残存期間が変化します。
債券は一点ものということにはなりますが、利回りの水準は市場メカニズムによって同じくらいのところに落ち着いてくることになります。

利回りが上昇している背後には、FRB(米国連邦準備制度理事会)の政策金利引き上げが影響しています。
インフレに対応するために政策金利が引き上げられ、現在は5%を超えている状況です。

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出典:セントルイス連銀

特に米国人にとっては5%で債券が買えることはかなり魅力的で、だからこそ相対的に株式の魅力が下がっている状況です。
あのバフェットも今はどちらかというと米国債を買っています。

Next: バフェットも買う米国債にも3つのリスク…日本人投資家は特に注意?

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