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利回り5%!バフェットも買い増しする「米国債」は買いか?日本人投資家が注意すべき3つのリスク=栫井駿介

米国債のリスク

私たちも米国債を購入すべきかと思うかもしれませんが、冷静に考えなければいけないことがあります。
なぜなら、私たちは基本的に日本円をベースにして考えているからです。

国債はデフォルト(債務不履行)に陥ることはほぼ考えられないでしょう。
しかし、債券にはそれ以外のリスクが存在します。

<金利上昇リスク>

金利が上昇すると、新発債の金利が高くなり、元々の債券が売られ、債券の価格が下がり、利回りが上昇します。
簡単に言うと、金利が上がると債券の価格が下がるということです。

満期まで持っているのであれば問題ないですが、もし途中で売らなければならなくなった時に、購入価格よりも安く売ることになってしまうという、価格変動リスクがあります。

一方で、満期まで持てるのであれば、この金利上昇リスクに関しては問題ないということになります。

<インフレリスク>

債券は金利を受け取れますが、例えば利回りが5%だとしても、インフレ率が8%だった場合、利回りではカバーできないということになります。
利回り以上にインフレになってしまうと実質マイナスとなるため、債券はインフレに比較的弱い資産です。
インフレ耐性としては金や株式に劣ることとなります。

ただし、インフレになれば基本的に金利も同様に上がるので、金利が高いところで買えれば問題はあまりありません。

<為替リスク>

米ドルを通貨として使用する人々にとっては、債券を満期まで保有でき、かつ既に高い利回りで購入できる場合、非常に魅力的な投資対象と言えるでしょう。

しかし、私を含め日本で生活する人にとっては、為替リスクがあることを忘れてはいけません。
リターンがあっても、最後に日本円に変換する場合、為替リスクが発生します。
現在が1ドル=150円で、仮に満期までに1ドル=130円の円高になった場合、約13%の損失が発生します。
つまり、1年間で5%の利益を得たとしても、為替で‐13%になってしまうとトータルでマイナスになってしまいます。

債券売却後、円に戻すということであればこの為替リスクは避けられません。

一方、リスク分散のためにドル資産を持つ、米国株購入の資金にするなど、債券の売却後にドルを保持し続ける場合は、為替リスクはあまり問題とはなりません。

米国債はおすすめできる?

結論となりますが、今後も米ドル資産を持ち続けるのであれば米国債の購入も良いと思いますが、日本円を中心に動く人には米国債はおすすめしません。

なぜなら、金利低下時に円高になる可能性があるからです。

現在は1ドル=150円を突破し円安が続いていますが、この円安は日米の金利差によるもので、インフレの収束などでFRBが金利を引き下げることになれば、日米の金利差は縮まり、円高になる可能性が非常に高いです。
アメリカの金利高が終わる時には同時に円高が起こることになります。

アメリカの高金利がいつ終わるかを明確に見積もることは非常に難しく、日本円を中心に考えている人にとって、ドルに投資することはリスクがあることを忘れないようにしましょう。

表面上の「利回り5%」に踊らされないように、金融リテラシーを高めていくことが大事になります。

Next: 無視できない為替リスク。日本で暮らす個人投資家は何を買うべき?

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