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株価急落「資生堂」は買いの好機か?チャイナリスク直撃で業績低迷、いま長期投資家が注視していること=栫井駿介

<原発処理水問題>

資生堂の説明としては、原発処理水による日本バッシングが起き、日本のブランドとしての価値が低下し、商品が買われなくなったということですが、この説明が下方修正の理由として妥当かどうかは疑問が残ります。

中国での日本企業に対するバッシングはそこまで大きくなかったのではないかと感じています。

<不動産バブル崩壊>

なにより、不動産バブルの崩壊により、中国の経済が今苦しくなっていて、富裕層が急激に財布の紐を締め始めています。

資生堂は中国において高級ブランドとして利益率の高い高級品を売っていたのですが、富裕層の財布の紐が締まることでその市場自体が苦しくなっています。

<現地メーカーの台頭>

また、中国現地メーカーの台頭による競争激化の影響もあります。

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出典:東洋経済ONLINE

中国市場では、マーケティングの手法としてインフルエンサーを使用したものが主流となっていて、資生堂もその手法で行っていたのですが、販促する代わりに低価格で販売することを持ちかけられ、結果として資生堂のブランド価値を低下させることになってしまいました。

マーケティングにおいては現地メーカーに利があるということになります。

<成分開示義務化>

また、化粧品の成分の開示義務化も、資生堂にとって不利となります。

中国メーカーは資生堂と同様の成分を使用し、それを安価に提供できるため、資生堂と同じ成分の商品が安く市場に溢れることになり、資生堂も価格を合わせなければならなくなってしまいます。

成分の開示義務化はまだ行われていませんが、2024年1月には開示が義務付けられることになります。

 

資生堂が行ってきた「ブランド」というマーケティング手法が通用しづらくなっていくのではないかと思われます。

Next: 下方修正で株価急落……長期投資家はどう動く?

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