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ゼロ金利政策は本当に日本経済を救ったか?大量に生まれた生産性の低いゾンビ企業たち=田中徹郎

競争力のない企業を延命させて何が起きたか

たしかに金利が低いとおカネが借りやすく、会社は安く借りたおカネで設備を買ったり、研究開発をするはずです。

その結果、日本経済全体が活性化して、いずれ利上げができる環境が整うはずでした。

たしかにゼロ金利によって、たくさんの借金を抱える多くの会社の利払いは減り、倒産せずに済んだはずです、その結果、失業を免れた従業員も大勢いたことでしょう。

でもよく考えてみれば、このゼロ金利政策は、人間が備えている抵抗力について、少し無頓着なのではないでしょうか。

その結果、効用より弊害のほうが上回っているように思います。

まず第一にゾンビ企業の温存です。たとえばアメリカのように10年金利が2〜3%(ここ10年ほどの目安平均)もあればどうでしょう。

1億円の借金がある会社は毎年250万円ほども利息を払わなければなりません、財務に余裕がある優良企業ならなんてことありませんが、ギリギリのところで生き延びてきた中小企業ならどうでしょう。

おそらく力尽きて倒産する会社もたくさんあるはずです。

これは経営者にとっては身を切られるような痛みに違いありませんし、従業員もつらいはずです。僕自身まがりなりに長いこと会社を経営してきましたので、そのつらさはよくわかるつもりです。

でも、日本全体のことを考えるとどうでしょう。

倒産した会社からは有能な人材が解放され、より強い会社に人的な資源が移動することになります。

倒産は従業員にとっても耐えがたい苦しみかもしれませんが、弱い会社から解放された人材が、より強い会社へ移動するという面があるはずです。

自然淘汰を生き延びた会社は生産性の高い会社ですから、そこに移動した人の生産性もおのずと高まるはずです。

給料が生産性によって決まるなら、それは移動した人材にとっても悪いお話ではありません。

社会は一つ一つの会社の集合体ですから、このような自然淘汰によって日本全体の生産性も高まるはずです。

結果として日本経済の競争力が高まりますから、おのずとお給料も上がるはずですし、それによって日銀が利上げしやすい環境が整うはずです。

いわばこれは利上げと生産性アップの好循環です。

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