米国メルカリの現状と課題
一方で、米国メルカリは赤字事業です。
その理由は何か?アメリカと日本の環境の違いを見てみましょう。
大きな違いは競合の存在です。
日本におけるメルカリは「フリマアプリ」としてその位置を確立していますが、アメリカにはebayやファッション専門のPoshmarkなど類似サービスを展開する競合が存在しています。
しかし、市場規模が約9倍も違うことからメルカリも諦めきれないのかもしれません。
メルカリの事業としての現状は、流通取引量の減少が起きています。
コロナ禍で大きく取引量を伸ばしたものの、目先は減少。
取引量を伸ばすために広告宣伝などが必要ですが、それを行うとコストを上回るほどの成果が出ず、赤字が拡大してしまいます。
したがって利益だけを考えるのであれば、取引流通量の減少を受け入れて、ユーザー獲得を目的とした広告宣伝費などのコストカットを行うことが最善の策と言えるのです。
メルカリの方針は、Z世代ユーザーの獲得です。コミュニティ機能の提供や対面取引を実験しています。これらがどこまで影響があるのか、現段階では判断できないでしょう。
出典:決算説明資料
総合的に考えると、市場は大きくポテンシャルがありますが、上手くいっているとはいえません。直近の米国メルカリにおける売上高は減少傾向です。しかし営業利益の赤字は縮小していることから、投資を抑えている現状が考えられます。
以前よりは、黒字化の見通しは立ちやすくなっているでしょう。とはいえ取引流通量の拡大のためには、まだまだ投資が必要です(広告宣伝の抑制は諸刃の剣です)。安定した黒字事業、という未来はまだ遠いように思います。
なお、決済ビジネス自体は赤字ではあるものの、成果は出ていると言えるでしょう。
新規サービスへの投資がかさんでいますが、クレジットカード「メルカード」のユーザーは拡大し、既存事業だけを見れば黒字の事業です。
出典:決算説明資料
正直、ビットコインを扱う理由はよくわかりませんが、メルカリ内での取引を拡大するためにも、重要な周辺事業であると考えます。先行投資を続けているフェーズと言えるでしょう。