フリマアプリを展開するメルカリ<4385>の株価が、大きく下落しています。2月13日に決算が発表されたばかりで、2,400円前後だった株価は一時2,000円まで下落しました。増収増益ながらも株価が下落する理由、メルカリの課題、今から投資して良いのかを考えてみましょう。(『 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』佐々木悠)
プロフィール:佐々木悠(ささき はるか)
1996年、宮城県生まれ。東北学院高校、東京理科大学経営学部卒業。協同組織金融機関へ入社後、1級ファイナンシャル・プランニング技能士を取得。前職では投資信託を用いた資産形成提案や多重債務者への債務整理業務に従事。2022年につばめ投資顧問へ入社。
メルカリの歩みを振り返る
まずは、ざっくりとメルカリの歴史を説明します。
メルカリは2013年に創業し、上場したのは2018年です。この間にメルカリの特徴である「消費者と消費者がインターネット上でフリーマーケットをする」仕組みを作り上げていきます。
上場後、赤字が続きます。
その理由は米国でメルカリを拡大させるための広告宣伝などの投資が増えたこと。さらにメルペイなどのフィンテックを確立するために先行投資を行ったためです。
そして大きな転機となったのがコロナ禍の2021年6月期です。在宅時間は増えるとともに、メルカリの需要が拡大。アメリカへの投資を抑えたことも好影響でした。創業来初の黒字であるため、株価も大きく伸びた時期でした。
また23年においても国内メルカリの売上高成長と米国メルカリのコスト削減で黒字が拡大しました。
しかし、直近は黒字でも株価が下落しています。
その理由は何か?詳しくビジネスを見てみましょう。
日本メルカリの現状
業績をもう少し詳しく、セグメントごとに分けて考えてみましよう。
国内メルカリ事業は安定した黒字事業です。
しかし、今後の成長を考えると大きな課題があります。
メルカリの成長を考える上で、取引流通量(GMV)は重要な指標です。
なぜならば、メルカリの売上は売買成立時に発生する手数料が大きなウェイトを占めているからです。そのためには売買の源となる物品と利用者を増加させる必要があります。
国内メルカリ事業は取引量と利用者が増えているものの、その成長率が鈍化しているのです。特に、取引流通量については、以前のような勢いはありません。
メルカリが示している目安の成長率は10%です。しかし直近の24年6月期 第2四半期決算の成長率は9%ですから、成長率鈍化の懸念が高まったものと考えます。
それが、株価下落の1つの要素でしょう。
この状況を打開するために越境取引、マーケティング強化、BtoCの強化を行う方針です。
安定した黒字事業ですが、成長性にやや陰りが見える、そんな状態といえます。
Next: 赤字の米国メルカリをどうするべきか?現状と課題