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「中国経済は終わり」は本当か?安心していると痛い目にあう日本。あと数年の最悪期を経て、中国が最先端テクノロジーで世界を制す=高島康司

中国経済の悪いニュースが多い。たしかに状況はよくないが、背後では大きな変化が進行している。中国経済は構造的な転換期にあり、それを乗り越えると、新たな飛躍の時期が来ると思われる。(『 未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ 未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ 』高島康司)

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中国経済の背後で起こる構造的な転換

停滞する中国の背後で起こっている経済の構造的な転換について解説したい。

この数年ほど、中国経済の悪化を伝えるニュースが連日のようの報道されている。これまで中国の高い経済成長をけん引してきた不動産バブルが崩壊し、ひどい状況になっている。不動産市場の暴落による不動産会社の倒産ラッシュは他の産業分野にも波及し、経済の減速が顕著になっている。

最近開催された「全人代」で李強首相は、5%前後の成長目標を掲げたが、達成は容易ではないことを認めた。賃金の未払いへの抗議は全国で見られるようになり、また中国からアメリカに亡命する中国の不法移民もここ数年で激増している。

日本のメディアでは、中国は終わったとの報道が多くなっている。

たしかに中国経済の現状は厳しい。すでに周知だろうが、なぜ中国経済が失速しているのか、簡単に振り返って見よう。

中国不動産バブル崩壊の経緯

2013年に就任した習近平政権は、2002年から2012年まで続いた胡錦涛政権から、不動産投資の拡大で成長する中国経済の成長モデルを引き継いだ。

周知のように中国では、土地の所有権は地方政府に属し、私有は認められていない。国有地である。一方、土地の使用権の売買は認められているので、マンションや住宅の販売が活発になると、その使用権販売の収入は地方政府に入る仕組みになっている。

このため、不動産開発が盛んになればなるほど、地方政府の財政も豊かになる構造になっている。

地方政府は毎年8%程度の高成長に後押しされた不動産開発投資の波に乗り、「地方融資平台」という投資会社を作り、債権の発行や銀行からの融資などで資金を集め、不動産開発を行った。

このため不動産開発は活況を呈し、中国のGDPの約40%も占める巨大産業に成長した。また一般の不動産会社も銀行からの低利の融資を受け、積極的に開発を行った。

しかし、投資目的の不動産購入が増えたため、マンションや住宅価格は急騰し、一般の国民は買える水準よりもはるかに高くなった。また、不動産投資で大儲けする富裕層も生まれ、社会格差はさらに拡大する結果になった。

2019年、不動産バブルのコントロールの効かない崩壊を懸念し、また社会格差の拡大に脅威を感じて「共同富裕」を理念に掲げた習近平政権は、不動産部門に対する大規模な規制に乗り出した。

銀行の利子率を引き上げ、また「3つのレッドライン」を定めて「地方融資平台」を含めた不動産産業に総量規制を実施し、金融機関からの資金の流入を止めた。また、住宅ローンに必要な頭金の最低額も引き上げ、以前のように簡単に不動産を買えないように規制した。

この効果はすぐに現れた。中国の大都市を中心に不動産バブルは崩壊し、不動産市場は暴落した。また「地方融資平台」の破綻も相次ぎ、これの実質的な融資の保証先であった地方政府の財政状況も悪化した。不動産開発で得られる土地使用権の収入が激減したからである。地方政府の債務残高は1,100兆円にもなり、返済が不可能でデフォルトする政府も出る始末だ。

さらに、不動産部門に融資をしていた銀行は大量の不良債権を抱えて経営が悪化したので、他の産業への融資も困難になった。また、不動産部門は中国のGDPの40%も占めるので、その崩壊による負の波及効果は絶大だった。

Next: 中国の技術力は圧倒的?低調な経済の背後で進む構造転換

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