悪い対応:雪印乳業の食中毒事件
一方で、2000年に発生した雪印乳業食中毒事件は悪いケースとして取り上げるべきでしょう。
同年3月、雪印の北海道工場において停電が発生し、工場内の脱脂粉乳の温度が上昇したことによって、病原性黄色ブドウ球菌が増殖。本来は廃棄すべきものでしたが、製造課長は叱責を恐れてこれを隠し、それを出荷しました。
この汚染された脱脂粉乳を使った商品が近畿地方を中心に販売され、食中毒など様々な被害が1万3,420人に及び、戦後最大の食中毒事件となりました。
さらにまずかったのが、その後の対応です。当時の社長の石川氏は、「黄色人種には牛乳を飲んで具合が悪くなる人間が一定数いる」など場当たり的な説明が目立ちました。
最も有名な話は、記者会見の延長を要望したことに対し「そんなこと言ったってねぇ、わたしは寝ていないんだよ!」と発言。この会話がマスメディアで広く配信されたことから、世論の批判を浴び、雪印のブランドは失墜しました。
その後も牛肉偽装事件などの不祥事もあり、企業の解体・再編まで追い込まれることになります。
(2011年、雪印乳業は日本ミルクコミュニティと親会社である雪印メグミルクに吸収され消滅)
これらのケースを見て言えることは「小林製薬の紅麹問題が起こってしまったことは変えられない。いかに誠実に捜査に協し、記者会見などの対応を行うか?」これが小林製薬の今後を考える上での大きなポイントになりそうです。
では少し頭を切り替えて、投資家の目線で小林製薬はどのような企業なのか、考えてみましょう。
そもそも小林製薬はどんな企業?
まずは業績を確認してみましょう。
売上は拡大しているものの、利益は横ばいに推移しています。
出典:決算短信より作成
利益をもう少し細かくみてます。
地域セグメントごとの利益推移を見ると、主戦場が日本であり、近年は海外も伸びてきていることが分かります。しかし、国内における利益は緩やかな右肩下がりです。これが、利益成長が弱い要因であると言えるでしょう。
出典:決算短信より作成
では小林製薬が、国内でどのような商品を販売しているのかを確認しましょう。