株価が下落する理由
以上のように市場におけるライバルは存在していながらも、今後の成長に向けて策を打っています。2022年など、原材料高などの影響で一時的に業績が落ち込む場面がありましたが、現状は悪くありません。
しかし、株価は下落しています。それはなぜでしょうか?
1つ考えられるのは、「事業は成長はしているが市場の期待には届いていない」可能性です。
23年3月期3Qの決算を受けて大きく株価が下落しています。これは23年3月期2Q時点で上方修正があり、3Qにおいてもその期待があったように思います。結果的には営業利益のレンジ目標の下限である735億円にわずかに届きませんでした。(実績733億円)そして通期決算で発表された24年度決算は、増収増益予想でありながらも、コンセンサスを下回りました。こういった状況が、株価下落を招いていると考えます。
したがって、業績は悪くないだけに割安感があると言えるでしょう。過去10年の平均PERは約30倍です。24年1月時点のPERは28倍でしたが、24年5月時点の25年3月利益予想を基準としたPERは約22倍です。日本の市場が中長期的に衰退するだけに、海外で強力なライバルとシェアを競う必要があります。今後の成長ポイントは、やはり米国やアジア市場においていかに成長できるか?です。長期投資の観点では、ここを信じられるかどうかが一つの論点だと思います。
また、2024年の1月1日に1:3の割合で株式分割を行いました。株価は15,000円から5,000円となり、NISA開設に伴って最低投資額を引き下げることで投資しやすくなりました。
この株式分割に伴って株主優待も変更されています。
100株以上保有すれば1,000円分の日清製品をプレゼント、300株で3,000円分、900株で6,000円分、3,000株以上で7,500円と、保有株数に応じて株主優待をもらえます。(100〜300株は年1回、900株〜は年2回)この株主優待も投資の一つの楽しみとなるかもしれません。今回の分析を参考に投資判断をしてください。
※上記は企業業績等一般的な情報提供を目的とするものであり、金融商品への投資や金融サービスの購入を勧誘するものではありません。上記に基づく行動により発生したいかなる損失についても、当社は一切の責任を負いかねます。内容には正確性を期しておりますが、それを保証するものではありませんので、取り扱いには十分留意してください。
『
バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問
バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問
』(2024年5月30日号)より
※記事タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。