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「農林中金」5000億円損失と1.2兆円増資は金融危機の引き金となるか?メガバンクも流れ弾をくらう可能性=栫井駿介

金融業界全体に波及するか?

では、マクロ経済の話に移ります。

農林中金の損失がリーマンショック級だということですが、金融全体としてどのような問題になるでしょうか。

先述の通り、メガバンクはそれほど偏った運用は行ってませんし、国内での運用もそれなりに行われているので、問題ないと思われます。

ただし、例えばじもとホールディングスなどは苦しい状況のようです。

※参考:じもとHD→国有化、農林中金→1兆円増資…金融機関も国債運用で“大ヤケド”の惨状|日刊ゲンダイDIGITAL(2024年5月22日配信)

じもとホールディングス傘下のきらやか銀行と仙台銀行は元々経営状況の苦しい銀行でしたが、債券運用で損失を被って国有化されるという話です。

地銀などは債券運用が高度化されていないので、外債を含み損のまま放置しているところもそこそこあるのではないかと思います。
そういう意味では、地銀には気をつけた方が良いかもしれません。

米不動産の問題

ただ、日本の地銀という小さな問題にとどまらないかもしれません。

あおぞら銀行も大きな赤字を出しています。

※参考:赤字のあおぞら銀行、米不動産融資に新型コロナの誤算 – 日本経済新聞(2024年2月25日配信)

これは債券の問題ではありませんが、金利が上がったことによってアメリカの不動産もかなり苦しくなっています。

不動産は、お金を借りて不動産を運用して金利を返すというビジネスモデルなので、金利が上がると不動産の収益から金利を返すことが難しくなります。

さらに新型コロナでリモートワークとなり、アメリカでは一度リモートワークになった労働者がオフィスに帰ってこず、オフィスががらがらだということです。

そうなると不動産価格は下がりますし、賃料も入ってこなくなります。

アメリカの不動産は爆弾を抱えている状況です。

Next: メガバンクの決算は好調だが、流れ弾をくらう可能性も

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