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本当に怖い円安…なぜ日本はこんなに貧しくなったのか?円の価値が下がり続ける理由と私たちの末路=岩崎博充

改革できない社会はやがて崩壊する?

これまで通貨の下落によって衰退していった国家のケースは数多くある。近年で最も有名なのは「アジア通貨危機」だが、その影響でロシアのルーブル暴落が起こり、ヘッジファンドの「LTCM」の破綻が起きた。結局、米国のFRBが救済するほどの大きな金融危機になったわけだが、その後ロシアは権力主義国家へと変貌を遂げて、プーチン独裁国家となってしまった。

現在の日本の円安は通貨危機と言えるほどのものではないが、かつて米国を救うためにG5(先進5か国蔵相会議)が合意して米ドルを切り下げた「プラザ合意」以前の1ドル=250円台あたりにまで円安が進めば、日本は先進国の座から転落したことを意味する。

さらに、注目すべきは通貨危機は連鎖する傾向が強いことだ。90年代の通貨危機の時代には、以下のように通貨危機が増幅して連鎖しているのがわかる。

  • 英国ポンド危機(1992年)
  • メキシコペソ通貨危機(1994年)
  • アジア通貨危機(1997年)
  • ロシアルーブル危機(1998年)

2020年代もまた、こんな時代の幕開けになるかもしれない。90年代の通貨危機の端緒となったのがポンド危機だが、2020年代には「円」がその端緒を切る役割になるかもしれない。そんな懸念を抱かせるほど、現在の「円」は売られる環境が整っていると言える。

どんな時代でも、通貨価値の下落は国家の衰退を示唆することが多い。江戸幕府も300年の歴史の中で、末期には財政に行き詰まり、通貨(小判)の金の含有量を減らして対応していた。ここ数年金価格が大きく上昇しているが、こうした傾向は国家の「信用」で成立してきた「紙幣」が、基軸通貨であるドルを含めて、その信用を失いつつある兆候かもしれない。言い換えれば、世界は紙の通貨を信用する人が少なくなっており、投資先が金に流れていると言ってもいい。

いずれにしても、戦後70年の歴史の中で、政治や経済など様々な面で改革してこなかった日本が、ここに来て時代の転換点に差し掛かっているのは間違いない。ドルを含めて「紙」のマネーが信用を失いつつあり、その最初の標的になるのが円かもしれない……。

そんなリスクを日本人の何割が理解しているのか。円安は大きなリスクであることを再認識すべきだ。

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image by: yoshi0511 / Shutterstock.com
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本記事は『マネーボイス』のための書き下ろしです(2024年6月28日)
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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