fbpx

サムスンと共に沈む韓国。経済の病巣「既得権益」が国を滅ぼす要因へ肥大化=勝又壽良

国を滅ぼす要因へ肥大化

問題は、韓国特有の既得権益意識が経済や社会の発展を阻害していることだ。韓国の合計特殊出生率は、世界最悪状態へ陥っている。23年は、「0.72」と史上最低記録を更新した。韓国は、このままだと2750年になくなるという「人口消滅国家第1号」に挙げられているほどだ。

韓国の合計特殊出生率が、人口横ばいを維持する「2.08」を大きく下回っている理由として、儒教倫理が上げられる。「男尊女卑」の人生観である。育児は、「母親の仕事」という認識が極めて強いのだ。家庭はもちろん、企業でも女性の「結婚・出産」をタブー視しており、女性のキャリア形成上に大きなマイナスになっている。「男性は仕事・女性は家庭」という一種の既得権益が牢固として今も生き続けている。

韓国ほど、若者の間で男女の権利意識で対立している国も珍しい。これは、女性が男性の既得権益を奪っているという認識が背後にあるからだ。つまり、「男性は仕事・女性は家庭」というカビの生えた儒教倫理が未だに障害になっている。

韓国の4年制大学進学率(2020年)は、全体で64.69%(世界2位)である。男性が、62.32%(1位)。女性が67.28%(5位)である。女性の大学進学率が男性を上回っていることから、女性が社会進出を求めていることは当然である。これが、就職難という事情が影響して、女性が男性の職場を奪っているという誤解を生み、男女の対立原因になっている。

原因は、経済全体の需要を拡大できない政策の失敗にある。だが、そういう認識に至らないで、「コップの中の争い」を行っている。政策失敗の原因は、左右両派の激しい対立にある。左派が、反企業主義を強く掲げていることだ。「企業性悪説」に立っているので厳しい企業規制をかけている。最低賃金制によって、法定の最賃を護らない経営者には罰則規定がある。これが、賃金の弾力性を奪っている。また、労組が終身雇用制と年功序列賃金制を強く要求しているので、労働の流動化が進まず転職市場の育成を遅らせている。

企業性悪説は、労働者の既得権益と結びついている。労働者を護らなければ企業の食い物になるという固定観念が強く働いているのだ。労働者は、自らの労働力を売る以外に生きていく術がないという認識は、古典的な労働者観である。19世紀のマルクス時代の話だ。現在は、特殊技能者が、高賃金を求めて企業を渡り歩く時代に変わっている。韓国は,G7メンバーになって当然という意識と裏腹の事態に矛盾を感じないのだ。それは,余りにも既得権益意識に毒されている結果であろう。

韓国では、こうした時代の変化に合わせた改革が行われず、マルクス主義の企業性悪説による労働立法が行われている。この裏には、労働者の間違った古い既得権益意識が作用していることは間違いなく、左派は変革する勇気がない。これが、韓国産業の新陳代謝を遅らせている。男女間の無駄な対立を煽ってもいる。回り回って、出生率低下を招いているのだ。すべてが、悪循環過程にある。

Next: 韓国はもう末期。既得権益を守るために医者がストライキまで…

1 2 3 4
いま読まれてます

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

MONEY VOICEの最新情報をお届けします。

この記事が気に入ったらXでMONEY VOICEをフォロー