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ポスト岸田で日本円の価値はどう変わるのか。日米新政権で円安局面は終焉へ=斎藤満

すでにポスト岸田をめぐって、石破、小泉、河野の「小石河」3人衆のみならず、10人前後の候補者が名乗りを上げようとしています。秋以降の為替を見るうえで、キーパーソンが変わってきました。(『 マンさんの経済あらかると マンさんの経済あらかると 』斎藤満)

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※有料メルマガ『マンさんの経済あらかると』2024年8月19日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:斎藤満(さいとうみつる)
1951年、東京生まれ。グローバル・エコノミスト。一橋大学卒業後、三和銀行に入行。資金為替部時代にニューヨークへ赴任、シニアエコノミストとしてワシントンの動き、とくにFRBの金融政策を探る。その後、三和銀行資金為替部チーフエコノミスト、三和証券調査部長、UFJつばさ証券投資調査部長・チーフエコノミスト、東海東京証券チーフエコノミストを経て2014年6月より独立して現職。為替や金利が動く裏で何が起こっているかを分析している。

政治の一寸先は闇

政治の世界は、まさに「一寸先は闇」。為替に影響する政治環境も大きく変わろうとしています。

まず米国でトランプ前大統領が銃撃されたのも、耳をかすめただけの「神がかり」も予想できない事件。バイデン現職大統領の選挙戦撤退も予想外のことでした。それ以上に驚いたのが岸田総理の総裁選不出馬。王様を取られても負けに気づかず将棋を続ける人と言われ、ポストに固執するとみられた総理が自ら不出馬を決めました。

世の中に偶然はないといいます。トランプ氏を引きずり降ろそうとした勢力がいたことになります。そしてバイデン大統領を支えたCFR(外交問題評議会)も、「天の声」としてバイデン大統領に引導を渡したとみられます。大手ハイテク企業の分割を良く思わないロックフェラー・グループがバイデン大統領に反発し、CFRを動かしたともみられます。

同じくCFRの支援を受けていた岸田総理も、バイデン氏とともにCFRの支持を失った可能性があります。すでにポスト岸田をめぐって、石破、小泉、河野の「小石河」3人衆のみならず、10人前後の候補者が名乗りを上げようとしています。秋以降の為替を見るうえで、キーパーソンが変わってきました。

米国サイドはドル堅調要因

ドルをめぐっては、トランプ氏とハリス氏とで為替の姿勢が大きく異なります。

トランプ前大統領は「ドル高は米国産業にとって大惨事」と言い、就任後にはドルの引き下げを進める意向を示し、来年はFRBに利下げを求め、日本には円高につながる利上げを歓迎するとみられています。

一方、ハリス大統領となれば、彼女は金融政策に関してFRBに一任するといいます。ホワイトハウスからは為替や金融政策に余計な口出しはしない、ということでFRBの独立性を尊重する姿勢です。

しかし、一見為替には異なる姿勢ながら、どちらになっても、ドルが大きく下げる可能性は低く、ドルは下げても緩やかな下落となりそうです。それは財政政策が両候補ともに「大きな財政」になりやすく、インフレ圧力を残すためです。

その点、トランプ氏は最近、エネルギー価格を半分に下げ、インフレから国民を守ると主張していますが。

もっともトランプ氏の背後にいる勢力が副大統領にバンス氏を登用する裏には、トランプ氏が好き勝手をすればトランプ氏を引きずり下ろし、バンス氏に任せるとの意向もうかがえ、トランプ氏の思い通りにはいかない面もあります。トランプ氏を支援する勢力は、「いざとなればバンス大統領」をちらつかせてトランプ氏をコントロールするとみられます。

米ドル/円 日足(SBI証券提供)

米ドル/円 日足(SBI証券提供)

それでもトランプ大統領は減税や貿易における関税の引き上げなどを主張し、これらがインフレ高止まりをもたらす面があります。それが金融緩和を制限し、ドル安の進行を緩やかにするとみられます。

一方、ハリス大統領となっても、これまでのバイデン政策を踏襲するなら、気候変動対策や低所得者支援など、基本的には「大きな政府」となって拡張財政に傾斜します。金融政策はFRBに任せるとしても、財政からはインフレ的な圧力がかかります。

結果的にトランプ再選でもハリス氏がバイデン氏を引き継いでも、財政面からインフレ圧力が残るため、FRBは大幅な利下げが難しくなるとみられます。

Next: 利上げ反対の岸田総理が退陣…日本円の価値はどうなる?

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