利上げ反対の総理が退陣
日本サイドでみると、日銀の利上げに抵抗していた岸田総理が退陣するとなると、日銀には利上げに対する制約がとれ、自由度が高まります。
植田日銀は7月の決定会合直前になって急遽追加利上げを決めましたが、この裏には何か事情があったとみられます。植田日銀に利上げを急ぐ事情ができたのか、政治サイドの圧力が変わったのか、実情は闇の中です。
内田日銀副総裁は利上げ後の株価急落を見て、「株式市場が不安定な間は利上げをしない」と述べましたが、株価は下げ分の3分の2を戻しました。日本株急落の引き金を引いた米国の景気不安も後退しています。

日経平均株価 日足(SBI証券提供)
これらを背景にショックの円高が是正されつつありますが、一方で岸田総理の壁がなくなれば、日銀の利上げに対する壁も低くなるとみられます。これは円高要因になります。
円安求める安倍派系に限界
ポスト岸田が高市経済安保相など安倍派系となれば、アベノミクスの踏襲圧力がかかります。しかし、この可能性は2つの理由で小さいとみられます。
1つは高市氏とその前任経済安保相の小林氏とが票を食い合いし、なおかつ米国が「清和会」を排除しようとしている節があり、両候補には逆風です。
また彼らを後押しするトランプ氏は、為替に関してはドル高修正を優先し、日本がアベノミクスの継続で円安政策を進めることに抵抗があるはずです。
小石河チームなら金融の正常化へ
目下のところ、可能性の高いポスト岸田体制としては、石破元幹事長を総理とし、これを支える参謀として河野幹事長、小泉官房長官、という「小石河」チームによる新政権です。この裏には、菅元総理の影響力があり、麻生副総理に代わって、菅氏が副総理に座る可能性があります。
石破元幹事長は以前、行き過ぎた金融緩和の副作用を指摘していて、金融政策の正常化には前向きと見られます。
また河野デジタル担当相は円安是正に向けて利上げが必要と述べ、財務省からひんしゅくを買った経緯があります。石破新体制となれば、継続的な利上げで正常化を進め、市場は金利差縮小を予想しやすくなり、為替は緩やかな円高に向かいそうです。






