なぜ利用者が増えるのか?
ビズリーチの主要な収入源である、企業・ヘッドハンターの利用を増加させるためには、まずは転職希望者を増やす必要があります。それが実現できている理由を考えます。
<効果的なプロモーション>
最もわかりやすいのは、ビズリーチのCMです。
現在公開されているテレビCM「社長の本気編」は、ビズリーチを利用して採用を行っている大企業の社長が出演しています。
大企業への転職可能性をアピールするなど、プロモーションの上手さがユーザー増に貢献していると考えます。実際、コスト構造では人件費を超える広告宣伝費を投入しており、知名度の拡大に力を入れていることがわかります。
出典:ビズリーチ ホームページ
<企業と転職者の立場が逆転する>
日本の新卒一括採用の文化の中では、求職者は企業に採用してもらえるようお願いするような構図があります。
しかし、企業側から声をかけるダイレクトリクルーティングでは、そもそも「志望動機は何ですか?」と聞かれること自体がおかしいですし、企業と人材が対等、むしろ求職者側が気になることを積極的に聞くことができるような、従来の採用活動と立場が逆転している側面もあるでしょう。
国内においては、このダイレクトリクルーティングの草分け的存在であるのがビズリーチです。
したがって、企業からオファーが来るという仕組みは求職者側の負担が小さく、そこを訴求している点がユーザー増加につながっていると言えるでしょう。
<ハイクラス・非公開求人などのプレミアム感>
企業側の利用動機として、代えが効くような人材、誰でもできるような仕事のポジションは、わざわざ企業から声をかける必要はありません。
だからこそ、ビズリーチを使う企業の求人は、役職・ポジション・待遇などハイクラスの方々に向けられる傾向にあり、企業の採用ページでは公開しても人が集まらないことから、非公開のポジションをビズリーチを使って採用するのです。
だからこそ、キーワードとして「ハイクラス・非公開求人」という言葉で転職者に訴求が可能であり、ダイレクトリクルーティングという仕組み上、それが実現しやすいことから、ユーザーが増えていると言えるでしょう。
<企業、転職エージェントが増える理由>
上記のように、転職希望者が「ビズリーチを使いたい」と思わせる仕掛けがあり、魅力的な人材が増えて来ているからこそ、企業・転職エージェントの数も増えていると言えます。
しかし、それ以外にもビズリーチ側の面白い戦略として、顧客企業のセグメンテーションとターゲーティングを行ったことがあります。
それを表現したのが、下のスライドです。
出典:ビズリーチ 決算説明資料
ビズリーチは2009年に開始されたサービスですが、当初は外資系企業の日本支社を顧客としていました。これらの企業はダイレクトリクルーティングの文化が根付いており、手取り足取りフォローをしなくてもサービスが自走していたのです。
次に狙ったのはスタートアップ、中小企業です。これらの企業は求人を公開したとしても、基本的には求人に対する申し込みは少ないのです。
そこで活用できるのがダイレクトリクルーティングです。
企業から積極的に声をかけ、人材のポジション・役割が明確であるこれらの企業は、ビズリーチとの親和性が高かったのです。
そして、これらの企業に対し採用実績をだしたところで現在の日系大企業への利用へと移っていったのです。
このように、的確な顧客セグメントの理解とターゲティングを行っているため、ここまで利用企業が増えていったのだと考えます。