fbpx

トヨタ「完全勝利」は目前!日中韓の“EV三国志”を終わらせる戦略変更と全固体電池の威力=勝又壽良

BYDは2月15日、全固体電池の試作に成功したと発表した。2027年ごろから試験的に車両に搭載し、量産化は30年以降の予定としている。

BYDの全固体電池プロジェクトは、中国科学院・院士で清華大学教授の欧陽明高氏が主導し、6年間の開発期間を経て実現した。肝心の性能は、次のようになっている。

1)BYD
エネルギー密度400Wh/kg、サイクル寿命1,000回以上。

2)トヨタ
エネルギー密度500Wh/kg、急速充電可能で10分以下での充電。

BYDは、トヨタと比べて劣性を否めない。BYDの「サイクル寿命1,000回以上」は、何を意味するか。1日に1回充放電を行うと仮定すると、サイクル寿命1,000回は約3年弱の使用に相当する。BYDの全固体電池の耐用年数が極めて短いことを示しているのだ。トヨタは、20万Kmの走行まで保証している。雲泥の差である。

BYDリチウム電池の孫華軍CTOは、「現時点で、日本や韓国に比べ、私たちの技術が遅れているように見えるかもしれない」としたうえで、「中国の産学の研究開発規模は大きい。国家戦略とも相まって私たちは速いスピードでの発展が可能だ」としている。トヨタが、全固体電池開発に着手したのは、2006年からだ。すでに、19年の歳月をかけている。BYDは、たったの6年間である。この差は3倍。簡単に埋められるものではない。

35年に次世代電池で先鞭

トヨタは、全固体電池の次の電池とされる「全固体フッ化物イオン電池」の開発にも取り組んでいる。2035年以降の実用化を目指すもので、京都大学などの研究グループとの共同研究である。

全固体フッ化物イオン電池とはどのような特性を持つのか。

1)高エネルギー密度
全固体フッ化物イオン電池は、現在のリチウムイオン電池よりも高いエネルギー密度を持つため、より長い航続距離を実現できる。

2)安全性
固体電解質を使用するため、液体電解質を使用するリチウムイオン電池に比べて漏れや発火のリスクが低く、安全性がより高くなる。

3)資源の豊富さ
フッ素は地球上に豊富に存在する元素であり、リチウムに比べて資源の枯渇リスクが小さいというプラス面がある。

最大の特色は、全固体フッ化物イオン電池が、リチウムイオン電池より数倍のエネルギー密度を持つため、EVの航続距離を大幅に延ばすことが期待される点だ。具体的な数値は、まだ研究段階とされるが、現在のリチウムイオン電池の少なくも2倍以上の走行距離が見込まれる。

トヨタは、すでに1,400Km以上の走行距離を睨んだ開発計画を立てている。全固体フッ化物イオン電池の実用化は、2035年以降とされる。今後の研究開発によって、どのように可能性が広がるか分らない「未知の分野」である。

Next: 日本の未来は明るい?トヨタは、電池の開発で世界トップの位置にある

1 2 3 4
いま読まれてます

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

MONEY VOICEの最新情報をお届けします。

この記事が気に入ったらXでMONEY VOICEをフォロー