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「ヤクルト1000」ブーム終了で株価低迷…長期投資家は買い?海外展開に課題と光明、バフェットならどう判断するか=元村浩之

<ウォーレン・バフェットの投資哲学との類似性>

ウォーレン・バフェットは、コカ・コーラのように単一商品(または少数商品)を売り続ける消費者向け企業に強いと評価しています。ヤクルトも、余計な投資がいらず、繰り返し購入されることでキャッシュがどんどん出てくるという点で、コカ・コーラやシーズ・キャンディ(バフェットが買収したキャンディ会社)のような強さを持っていると言えるでしょう。

しかし、コカ・コーラは常にマーケティング手法を洗練させ、第2、第3の商品を投入していますが、ヤクルトは「ヤクルト」という名前がつかない商品がなかなか出てこない印象があります。ヨーグルトなどの乳製品や医薬品も手掛けていますが、これらが飛躍的に成長している事業というわけではありません。

「安心して持ち続けられる」が、大きなリターンは期待薄か

ヤクルト1000のヒットがあったからこそ注目されましたが、そうでなければ投資家からの注目度は高くなかったかもしれません。高いリターンを望まないのであれば、安心して持ち続けられる企業の一つではあるでしょう。仮にヤクルトに外部のコンサルタントなどが経営改革に乗り込んできた場合、その堅実な土台部分まで壊されてしまう可能性も懸念されます。

現在のヤクルトの株価指標は、PERが15.9倍、PBRが1.36倍、利回りが2.48%となっています。これは一般的な妥当な水準に落ち着いていると言えます。これまでの経営の歴史を考えても不通感はありますが、足元の業績が振るわないため、ここからさらに下がる可能性もゼロではありません。

長期的な視点で見れば不安は少ない企業であり、配当も悪くないため、長期的な成長と合わせて持つなら十分に「あり」でしょう。もし、ヤクルト1000のような「第二のヒット商品」が生まれれば、その時には再び株価が大きく跳ね上がる可能性も秘めているため、今後の動向をウォッチしていくのも良いかもしれません。

まとめ

ヤクルトは、地味ながらも強力なブランド力と財務健全性を持つ企業です。現在の株価には売られすぎ感もあるものの、決して超割安というわけではありません。今後の日本市場での「第二の矢」となる新商品開発や、アメリカ市場での更なる浸透に期待が集まります。


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image by:Jarsty / Shutterstock.com
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バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』(2025年7月15日号)より※記事タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。

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