先日、日経新聞を読んでいると、シャープ<6753>の株価が最悪期の100円以下から、現在400円台まで上昇しているという記事がありました。その記事を読んで、今後も株価の回復が続くのか、自分なりに予想してみました。(『日本株投資家「坂本彰」公式メールマガジン』坂本彰)
今から買っても間に合う?それとも…株価絶好調のシャープを分析
まずは決算短信の重要部分をチェック
まず、今期の決算短信を1Q(第1四半期)から順にチェックしてみます。
1Q実績は図の通り、売上高は前年比31.5%減の4233億9700万円に、純利益は274億5200万円の赤字となっております。さらに決算短信資料の1ページ目には、通常であれば通期の業績予想(下の赤枠)が書かれているはずなのですが、予想は掲載されていませんでした。
続いて、2016年11月に発表された2Q(中間期)決算短信。
売上高は前年比28.1%減の9196億8500万円、純利益は454億2000万円の赤字と、1Qと大きな変化はありませんが、注目すべきなのは営業利益です。営業利益とは、本業の利益を示す数値です。7900万円とわずかではありますが、初めて黒字に転換いたしました。
そして2Qでは、1Qには記載のなかった通期予想が掲載されました。売上高は前年比18.8%減の2兆円、純利益は418億円の赤字予想ですが、営業利益は257億円の黒字予想でした。
続いて今年2月に発表された、最新の3Q決算短信です。
売上高は前年比23.2%減の1兆4912億円、純利益は411億円の赤字でしたが、営業利益は189億3800万円となり、黒字幅が拡大しています。さらに同日、営業利益を従来予想の257億円から373億円へと上方修正されました。
ここまで、2017年3月期の業績の流れについて解説いたしました。続いては、業績と比較した株価推移を掲載いたします。
約5倍まで上昇したシャープの株価推移
1Q決算短信が発表されたのは7月29日ですが、このタイミングでの株価は100円前後です。100円を下回っている時もあり、低迷していますね。ここからは業績が良くなっていくとともに株価も右肩上がりで上昇していることがわかると思います。
東証1部復帰はプラスだが…業績以外の強弱材料は
ここまで、業績と株価の流れについて書いていきましたが、続いては業績以外の株価へのプラス・マイナス材料を解説していきます。
業績に加えてプラス材料となるのが、東証1部への復活です。現在シャープは東証2部におり、1部への指定替えを目指している段階です。東証1部になると、何が良いかというと、資金力の豊富な機関投資家からの買いが集まる点です。
その一方、株価にマイナス材料となる点もあります。それは、社長の退任です。現在、ホンハイから社長が送り込まれ、業績を回復させようと必死に取り組んでいます。2017年度は業績の黒字。2018年度は東証1部復活を目標に掲げているのですが、達成した時点で退任するという発言もしています。次期社長は社内から選ぶということなので、そのあたりが、日産のゴーン社長と比べたら期間が非常に短いなと感じますし、不安材料でもあります。
(※参考:1999年3月、当時経営と財政危機に瀕していた日産がルノーと資本提携を結び、同年6月、ルノーの上席副社長の職にあったゴーン氏が日産の社長に就任しました。当時はコストキラーと恐れられましたが、日産再建に向け「日産リバイバルプラン」を作成。短期間で経営の立て直しを果たしました。)
業績面については、営業利益は増加しているものの、売上高の減少が続いています。そのため、本業の回復というよりも、コスト削減により利益が回復しているという面もあります。同社の有利子負債もまだまだ膨大な金額なので、本業の回復による株価上昇というよりは、期待先行による買いのイメージが強いです。
そのため、ここから株価が2倍~3倍へと大幅上昇する可能性は低いと思われます。シャープ株を大量保有するよりも、他の成長株へ分散投資した方がいいでしょう。
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サラリーマン時代に始めた株式投資から株で勝つための独自ルールを作り上げる。2009年10月、130万円だった株式資産は2015年に5000万円を突破。定期預金などを合わせた資産は1億円に。平成24年より投資顧問業(助言)を取得。現在、著者自身が実践してきた株で成功するための投資ノウハウや有望株情報を会員向けに提供しているかたわら、ブログやコラム等の執筆活動も行う。メールマガジン「日本株投資家 坂本彰 公式メールマガジン」は2014年まぐまぐマネー大賞を受賞。読者数2万人。雑誌等のメディア掲載歴多数。2016年12月1日『「小売お宝株」だけで1億円儲ける法』が日本実業出版社より発売!
プロフィール:坂本彰(さかもと あきら)
株式会社リーブル代表取締役。サラリーマン時代に始めた株式投資から多くの失敗と経験を積み、株で勝つための独自ルールを作り上げる。2009年10月に130万円だった株式資産は、2016年に6000万円を突破。定期預金などを合わせた資産は1億円超。2012年より投資顧問業(助言)を取得。現在、著者自身が実践してきた株で成功するための投資ノウハウや有望株情報を会員向けに提供するかたわら、ブログやコラム等の執筆活動も行う。前職はラーメン屋という異色の経歴。メールマガジン「日本株投資家 坂本彰 公式メールマガジン」は2014年まぐまぐマネー大賞を受賞。読者数2万人。雑誌等のメディア掲載歴多数。主な著書に「小売お宝株だけで1億円儲ける法」(日本実業出版社)日本証券アナリスト協会検定会員候補。
本記事は『マネーボイス』のための書き下ろしです(2017年4月5日)
※太字はMONEY VOICE編集部による