このようなリスクはB/Sに潜んでおり、外部のアナリストがその資産の質を完全に把握することは困難です。だからこそ、先ほど説明した「バーゼル規制に基づく自己資本比率」が極めて重要になります。この比率は、私たち外部の人間が銀行のB/Sに隠れた「未知のリスク」に対する備えを測る、唯一にして最強の代理指標(プロキシ)なのです。この比率が低いということは、B/Sのリスクが突如損失に変わった際に、それを吸収する体力(バッファー)が乏しいことを意味する、重大な警告サインです。
まとめ
銀行株への投資は、決算短信のヘッドラインに並ぶ利益の数字だけを見ていては成功しません。その裏にある本業の収益力、利益を操作しうる会計上のトリック、そしてB/Sに潜む潜在的なリスクを正しく理解することが不可欠です。
銀行は「安定した成長企業」ではなく、「金利や景気の波に乗るコモディティ」であるという本質を理解した今、あなたの金融セクターに対する投資戦略はどのように変わるでしょうか?ぜひ、今回学んだ5つの視点を持って、銀行の決算書をもう一度見直してみてください。これまでとは全く違う景色が見えてくるはずです。
※上記は企業業績等一般的な情報提供を目的とするものであり、金融商品への投資や金融サービスの購入を勧誘するものではありません。上記に基づく行動により発生したいかなる損失についても、当社は一切の責任を負いかねます。内容には正確性を期しておりますが、それを保証するものではありませんので、取り扱いには十分留意してください。
『 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』(2025年12月21日号)より※記事タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。
