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テノックス Research Memo(7):中期経営計画目標の経常利益15億円が視野入りへ

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■中期経営計画

1. 中期経営計画
テノックス<1905>は、2018年に目指すべき企業像となる長期ビジョンを策定した。「人間尊重、技術志向、積極一貫」という経営理念の下、長期的に変化する社会のニーズに適応した技術革新に積極的に取り組むことで新たな価値と市場を創出するとともに、基礎工事を通して社会に「安全」と「安心」を提供し、すべてのステークホルダーが豊かさを実感できる、100年企業を目指したサステナビリティ経営の実現を目標としている。こうした長期ビジョンの実現に向け、これまで中期経営計画を策定し一定の成果はあったが、担い手不足や働き方改革など労働環境の変化に加え、物価の高騰や供給不安、環境配慮型社会の加速といった社会課題の変化への対応も迫られている。また、東京証券取引所(以下、東証)からの企業価値向上の要請もあって、資本効率の高い経営を行う必要も生じている。

このため、長期ビジョンのPhase3となる中期経営計画(2025年3月期~2027年3月期)では「未来を拓く、新たな一歩」をスローガンに、これまでの中期経営計画の事業成果を基に、「事業別戦略」「開発戦略」「環境・デジタル戦略」「経営基盤の強化」「資本効率経営の推進」という5つの重要戦略を展開することとした。また、事業や各戦略を補完するため、M&Aを一層積極的に推進する方針となった。これにより、2027年3月期に、売上高270億円、経常利益15億円、ROE8%を目指すこととした。なお、事業別では、国内土木事業で売上高88.5億円、経常利益4.0億円、国内建築事業で売上高164億円、経常利益10.4億円、海外事業で売上高12億円、経常利益0.45億円、土木建築コンサルティング等事業で売上高7億円、経常利益0.35億円を目標とした。また、東証による「資本コストや株価を意識した経営」の要請を踏まえ、収益性の向上と資本コストを意識した経営を強化し、株主資本コストを上回るROEを実現する方針である。

2. 中期経営計画の進捗
中期経営計画の進捗としては、収益力の向上によってキャッシュを創出し、それを様々な投資に回して成果を出している点から、非常に順調と言うことができる。収益力の向上に関しては、工事ごとに目標KPIを設定し、進捗を目視化できるシステムを導入してKPI管理を徹底した。これをベースに、機械稼働率の向上、赤字工事の撲滅、徹底した安全・品質管理を推進したことと、契約条件の最適化により、コロナ禍〜物価高騰期の難しい局面にもかかわらず売上総利益率の改善につなげることができた。また、業務効率化や働き方改革などの面でも成果を挙げることができた。さらに、2025年6月に導入した事業本部制が、収益力の向上を後押ししているところである。

この結果得られたキャッシュを成長分野投資と既存事業投資、配当(後述)に回し、足元で様々な成果となって表れている。成長分野投資では、ベトナムでコンクリート杭製造工場買収を基本合意し、来期から収益貢献が見込まれている。新工法への投資では、ともに残土を大幅に低減する浅層の地盤改良工法であるテノキューブ工法と既製コンクリート杭高支持力中掘り工法のCP-X工法を開発した。テノキューブ工法は、定評あるテノコラム工法と同一現場内での組み合わせ施工が可能で、既に施工実績を積み上げつつある。CP-X工法は、液状化対策工法とセット提案を行うことで、副次的効果としてTN-X工法の引き合いも強まっている。また、2025年12月には耐震性の高い戸建て住宅向け基礎工法の開発・展開を目的にJHSと資本・業務提携した。中期的に大きなシナジーが期待され、2027年3月期には、持分法適用会社になるJHSの業績が乗る見込みである。

創業者の安田善次郎の想いであり同社のレゾンデートルでもある環境への投資では、2025年5月に東京都国分寺市のテノコラム施工現場で、電動小型杭打機の改良に向け試作機を実用した。また、石油代替燃料は使用例が着実に増加・収益化しているだけでなく、国土交通省が興味を示している点も差別化になっているようだ。これらにより直近1年半で約100t-CO2を削減した(Scope1・2※1)。また、兵庫県神戸市の杭工事現場で電炉鋼管※2や高炉C種※3を使用し、約500t-CO2を削減した(Scope3※1)。2022年度に対して2030年度はScope1・2で2,000t-CO2、Scope3で60,000t-CO2の削減を目指して、今後も継続して取り組む考えである。

※1 Scope1・2・3:原材料調達・製造・物流・販売・廃棄など一連の企業活動全体から発生する温室効果ガス(GHG)排出量を捉える分類方法。なお、t-CO2とは、温室効果ガスの排出量を二酸化炭素換算で表す単位。
※2 電炉鋼管:電炉でリサイクル材から作られるJIS企画に則った鋼管。CO2排出量を下げることができる。
※3 高炉C種:高炉スラグを混合したセメントで、CO2抑制につながる。C種は高炉スラグの混合率が60〜70%(一般的に使用されているB種の高炉スラグの混合率は30〜60%)で耐海水性が高く、大阪湾岸道路西伸部ガンテツパイル現場で適用済み。

人的投資では、採用が着実に増加、積極的な営業活動の展開につながっている。優秀な人材に多彩な研修を実施して、社会が求める価値を常に創造し続ける「人財」へと進化させている。近年では、GM職や役員のスキルアップ強化にも研修を活用している。さらに、2027年3月期第2四半期中に東京都港区芝の住友芝公園ビルへ本社を移転する計画である。目的は、持続的成長を支える基盤を整備するとともに、新たな価値を育てるインキュベーターとしての機能を備えた環境で、社員一人ひとりがイノベーションを起こすことができる新たな働き方を推進することで、次世代につながる持続可能な事業の展開を加速することにある。

3. 中計最終年度のイメージ
2026年3月期の業績は北海道新幹線延伸事業のピークアウトで踊り場になっている。しかし、中期経営計画最終年度の2027年3月期は、リニア中央新幹線の案件が少し遅れているものの、杭の第1弾工事に入るなど収益化し始める見込みである。また、関東の高速道路や関西では大阪・関西万博、大阪IR(統合型リゾート)建設工事の後に高速道路やモノレールの案件が動き出す見通しである。加えて、先送りになった北海道新幹線延伸事業の再開、CP-X工法による大型工事やベトナム工場の収益化も見込まれる。さらに、収益性の向上も進んでいる。このため、中期経営計画で目標とする経常利益15億円の達成も視野に入ってくると思われる。

リニア中央新幹線は、多大な利益貢献をした北海道新幹線延伸事業と同規模が予想されている。鉄道に関する事業は遅延することはあっても事業自体が減ることはなく、順次具体化が進むことになる。先々には北陸新幹線延伸や四国新幹線など様々な大規模鉄道プロジェクトも予定されており、同社としてもそうした案件を取り込むための準備を着々と進めていく考えである。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田 仁光)
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