スウェーデンの苦悩
次は、文字通りのマイナス金利で預金意欲減退中のスウェーデン社会。どうせ金利がないのなら、金貨や金地金の方がマシだと選択する国民が増えるのは至極当然の話です。
ところが、その選択肢がなくなったという、スウェーデン最大の貴金属販売業者、Tavex社の話題をご紹介しましょう。以下は、Tavex社のWebサイトに掲載された通知です。
通知文書
支払いシステムの変更通知
顧客の皆様
2016年6月30日午後3時半以降、弊社は、銀行送金および電子送金によるあらゆる金貨、銀貨、金地金および銀地金の受注を停止いたします。
この受注停止の理由は、SEB社(スウェーデン最大の金融機関)が、突然弊社の口座を閉鎖すると通達してきたことによります。
この口座閉鎖の決定に際して、当社に対して一切の事前通告や相談はありませんでした。閉鎖を通知してきた文書は、弊社口座の閉鎖理由として「一般的な取引の決定によるもの」とだけ記述しており、他に具体的な理由は記載されていませんでした。
スウェーデンの銀行システムは、現金をなくす方向へ進められており、弊社は、スウェーデンでも貴金属の大卸商であるために、大手銀行の圧力にさらされているのだと思います。
この口座閉鎖の措置により、弊社の取引は一時的に困難なものになるだけでなく、顧客の皆様にもご不便をおかけしますが、現金での投資用貴金属取引を今後も継続したいと考えております。
この事態に対応するために、新たな支払いシステムの構築を急いでおり、今後2週間から3週間の間に、それを完成させたいと考えております。
それまでの間、6月30日午後3時半以降の弊社Webサイト・ショップでのすべての受注に関しては、弊社のエストニアSwedBankのTavexAB社口座への国際口座振込みでお願いします。
この口座は、これまでと同様スウェーデンクローネ建て払いとなりますので、外貨取扱い手数料は不要であり、商品発送、保険料、梱包料等は、これまでと何ら変更はありません。
このような事態となり、ご迷惑をおかけすることをお詫びすると同時に、我々に対する同情もお寄せいただければと考えます。
今後、新たな支払いシステムを立ち上げることに最大限の努力をいたしますので、今後とも弊社をお引き立てのほど、何卒よろしくお願い申し上げます。
敬具
現金振込送金だけが不可能となったのか?それとも現金振込だけでなく、預金口座からの送金さえもできなくなったのか?
この通知だけでは詳細はよく分かりませんが、間違いなく言えるのは、「金貨、金地金、銀貨、銀地金がなくなった」からではなく、「誰かが彼らの商売の邪魔をしたくなった」からこそ、このような措置が取られたのだろうということです。
※太字はMONEY VOICE編集部による