来週以降の日本株は再度下値トライへ
しかし、このETF買いも無尽蔵に出来るわけではありません。既に、日銀のETF市場占有率は6割を超えてきています。日経平均採用銘柄の9割以上で、中央銀行である日銀が大株主上位10位以内というのは異常事態です。
このため、もっともやりやすかったと思われる今回のETF買いの政策決定ですら、2名の反対票が出ました。
これは「よりリスキーな新手のアイデアを検討したら反対が過半を越え却下される」リスクが高くなっていることを意味します。
なので、今回の日銀政策決定会合は予想通りの追加緩和となり、予想より多かったETF買いを好感した買いで日本株は上がりましたが、早晩、日銀の追加緩和余地がなくなることを懸念しての売りが出てくるでしょう。
つまり、今回の大盤振る舞いで当面の緩和は出尽しと思われる可能性が高いのです。
不幸にも8月は日銀政策決定会合が開催されませんので、今後マーケットがどんなにリスクオフになろうとも、日銀の緩和期待は醸成されません。おまけに、政府も考えられる上限を超えた「盛りに盛った数字」を出してしまったことで、材料出尽くしと捉えられました。
中央銀行や政府の持ち駒がなくなったと見たら、投機筋は円買い・日本株売りを仕掛け易くなるので、来週以降の日本株は再度下値をトライするトレンドに入るでしょう。
本記事は『マネーボイス』のための書き下ろしです(2016年7月29日)
※太字はMONEY VOICE編集部による
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