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日銀追加緩和決定で円高・株高が同時進行も、日本株は再度下値トライへ=E氏

なぜ日本株は下げずに戻したのか?

では次に、なぜ日本株は下げずに戻したのかについて説明します。

事前コンセンサスが織り込まれていたのは日本株も同様です。ならば、追加緩和でETF買いが発表されたら、材料出つくしで売られてもおかしくありませんでしたし、実際直後は前日比300円安まで売り込まれました。

それが徐々に買いが入りほぼ高値引けに近い水準で終ったのは、円相場と違い日本株はETF買いの需給的メリットを受けるためです。しかも事前にETF買いを予想したエコノミストも、ETF買い入れを従来の倍増に増額するというのは想定していませんでした。

つまり、想像していた以上に日銀がETFを買うことになったので、日本株相場を牽引してくれるという期待が出たからです。

結果、日本株と円相場はこの半年で最大ともいえるデカップリング(非連動)で終わりましたが、この非連動、即ち円は上がり易いけど株は上昇トレンド、が続く可能性は低いでしょう。

つまり、本日の日本株高はアヤであり、来週以降は無理して上げた反動で売られやすいと思われます。

日銀によるETF買いは、相場の下支え要因にはなりますが、決して上値追いはしません。基本的に、日銀は前日比で下落したときにしか買いを入れないためです。

実際、今年4月1日から昨日まで12000億円近いETFを市場から買い入れていますが、それにも関わらず参院選で与党が圧勝し円安にシフトするまでは16000円割れが続いていたのです。

また、本日は非連動でしたが、円が再度100円に向けて上昇したら、業績下ブレ懸念が再度高まることで、日銀の買いでも支えきれない売りが出てくるでしょう。

今年1月の日銀政策決定会合でマイナス金利を導入したときもそうですが、発表日と翌日程度はご祝儀的な買いで堅調に推移しますが、投資家は現実を見るようになります。

今の現実とは、世界は決してリスクオンではないので円は基本的に買われやすいということと、円が買われたら日本株は売られやすいという事です。

しかも、本日の追加緩和で、日銀は更に政策の持ち駒を減らしてしまいました。今回マイナス金利幅の拡大を見送ったのは、民間金融機関の収益悪化に配慮するためでしょうし、国債買い入れ増額を見送ったのは、日銀が買い過ぎた結果、流動性が極端に枯渇している国債市場に配慮したためでしょう。

このように追加緩和のネタが使えなくなりつつありますが、かといって新手の手段はリスクが高いです。4月日銀政策決定会合前に「日銀が貸し出しへのマイナス金利導入を検討」という、結果的にはガセネタが流れましたが、これをやった場合、民間銀行は既存貸出先から低利での借り換えを迫られるなどして収益悪化は必至です。

また、話題になったヘリマネは法律で禁じられているので、もしやろうとしたら法改正や影響を見極めるための有識者懇談会の開催が不可欠でしょうから、早くても数年先のことでしょう。

こうした中で、今回のETF買い入れ増額は、日銀にとっては「手持ちの手段で、もっとも実行しやすかった」というだけです。

Next: 来週以降の日本株は再度下値トライへ

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