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公募割れ続く日本郵政とゆうちょ銀行 「騙された」株主のとるべき道は?=栫井駿介

明るい兆しの見えない金融以外の事業

持株会社である日本郵政は、ゆうちょ銀行及びかんぽ生命の約9割の株式を持ち、郵便事業を行う「日本郵便」の全株式を保有しています。

将来的には、ゆうちょ銀行とかんぽ銀行の株式を売却することが決まっていますので、日本郵政の金融子会社からの利益の取り分は減少していきます。やがて日本郵政に残るのは郵便事業だけとなり、このままだと利益の大部分を失うことになってしまいます。

電子メール等の普及により、郵便物は益々減少していくことが確定的です。インターネット通販の隆盛により、ゆうパックのような宅配物は毎年確実に増えていますが、この事業は非常にコストがかかるため、利益を生むどころか、取扱数が増えるほど赤字が膨らむような状況になっています。

さらに、近ごろの人件費の高騰が追い打ちをかけています。

もちろん、日本郵政と子会社の日本郵便も手をこまねいているわけではありません。昨年オーストラリアの物流会社であるトール社を6,000億円で買収しました。また、郵便局でカタログギフトを販売するなど、様々な新規事業に手を出しています。

しかし、新規事業はあまりうまくいく様子が見られません。トール社は買収初年度から減収減益を記録しました。買収してから特にてこ入れをする様子はなく、高い買収金額を回収できそうにない状況です。

また、報道にもあった通り、決済代行事業からわずか2年で撤退するなど、踏んだりけったりの状況が続いています。

そもそも日本郵政は「お役所」であり、新規事業をやるような能力は備わっていません。これが中小企業であれば、社員の意識改革や人材の採用などを行うことで劇的に変わることもあるでしょうが、従業員数が20万人を超える企業で改革を行うのは並大抵のことはありません。

利益の大部分がやがて減少し、郵便事業は衰退、新規事業は鳴かず飛ばず。日本郵政(日本郵便)の将来性には明るい兆しが見えていないのです。

Next: ゆうちょ銀行は「普通の銀行」になるだけで未来が開ける

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